4: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/07(水) 21:06:41.06 ID:Q/KsUm3o0
「どうした? 何かあったのか!?」
『助けて! 助けてくださいプロデューサーさんっ! 早くしないとボク――』
「落ち着け幸子。まずは状況を教えてくれ。幸子はまだ、執務室にいるんだな?」
『そうですよっ! か、カワイイボクのピンチなんですから、急いでください! プロデューサーさんっ!』
強がる余裕はあるようでほっとする。生死に関わるような大事ではないらしい。
自室へ戻るにはエレベーターよりも階段を使う方が早い。
金属製の重い扉を開け、非常階段を駆け下りる。
「待ってろ幸子、すぐに戻るからな。泣くんじゃないぞ」
『ふ、ふふーんっ! 泣くわけないじゃないですか。全然ボクは怖くなんか――』
幸子の声を最後まで聞き取ることはできなかった。
「あ」
階段を踏み外したことで、スマホが俺の手からこぼれ落ちたからだ。
奈落へ落下してゆくスマホを眺め、視界がスローモーションに移り変わっているのに気付く。
ばちばちと眼前に光が舞っているのは、どうやら後頭部に受けた衝撃のせいらしい。
眼鏡がどこかへ吹っ飛んでゆく。
何が起こっているのかを理解する前に意識は薄れ、どうやらこのまま俺は死んでしまうらしいと悟った。
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