過去ログ - P「輿水幸子は無数に存在する」
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81: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/09(金) 21:59:38.60 ID:9ecZiZ/N0
 やがて開場、そしてクリスマスライブの開演が訪れた。

『みなさん! カワイイカワイイボクの登場ですよ! メリークリスマース!』

 声はスピーカーを伝って。
 幸子が現れる。

 きらきらと輝くサンタ調の紅白衣装に身を包んだ幸子は天使そのものだ。自称ではない。

 舞台に幸子が登場した直後、トークもなしに伴奏が流れ始めた。
 俺の知った曲、どこかの世界で耳にした、幸子の持ち歌だ。

 幸子は、この世界ではデビューして1年と少し。
 アイドルとしての道程、最序盤を走り終えたところだ。
 パフォーマンスはまだまだ成熟したものとは言えない。

 けれど、場は熱狂に支配されていた。
 隣から前から後ろから、コールが聞こえる。声援が聞こえる。
 必死な表情で叫ぶ彼らの目線は、舞台上の幸子へと集中していた。
 俺が彼らの顔を観察していることなど、気付いてもいない。

 俺も舞台上の幸子へと視線を戻す。
 光り輝く幸子の表情。
 その隣に俺は立っていない。
 こんなにも遠くから、眺めることしかできない。
 俺は、一ファンに過ぎないのだから。


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