9: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/07(水) 21:18:31.51 ID:Q/KsUm3o0
ライブは盛況のうちに幕を閉じた。
幸子の歌う曲は俺の知らないものばかりだったが、終始、俺の目からは涙が溢れて止まらなかった。
ライブが終わって、あのポスターのように光り輝く表情で楽屋へと戻ってくると、幸子は開口一番「次はドームですね!」などと宣った。
気が早いと返してやると「フフーン、このボクですからねえ、来年の今頃には叶ってるはずです」と頼もしいことを言ってくれる。プロデューサー冥利に尽きる。
ともかくよく頑張ったな、と激励の意味を込めて頭を撫でてやると、幸子は顔を赤くして、再び瞳を潤ませた。
武道館を後にすると、事務所で身内だけのささやかな打ち上げパーティを行い、俺はライブの高揚感を引きずったまま帰路についた。
――ドームライブ。
幸子にはああ言ってしまったが、本当は俺だって、近い将来には実現できるだろうと確信している。
一アイドルが、武道館での単独ライブを成功させたのだ。
あの熱狂は明日にもニュースサイトを駆け巡るはずである。
そして一般層へ、老若男女へと伝染し、いつかは日本全国へと。
その日が訪れるのが、本当に楽しみだ。
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