12: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/12/09(金) 22:54:34.89 ID:81cm0N8d0
最後の右折をして、ありすちゃんの自宅の前に車を停めた。エンジンを切って車から降りる。外に出ると優しい日差しが気持ちよかった。車体左側に回り、後部座席の扉を開く。ぼくは手を差しだした。
ありすちゃんはぼくの手を取って車から降りる。向かい合うとなんだか気恥ずかしい。
「私はもう高校生です。つまらないことに拘るのはやめました。子供っぽいと思うことも、恥ずかしいからと躊躇うこともやめにします。だから覚悟してください。絶対に振り向かせてみせますから。見ていてくださいね」
不敵に微笑むありすちゃん。ぼくはうなずく。
「うん、見てるよ。ぼくはありすちゃんのプロデューサーだからね」
「ふふっ、では失礼します。今日はありがとうございました」
ありすちゃんが家の中に入るまで見届けた。扉を閉める間際彼女は微笑んでくれたので、ぼくは小さく手を振り返した。
扉が閉まってからぼくはため息をつく。ありすちゃんの笑顔があまりにも大人びていて、不覚にもときめいてしまったから。
「これは手強そうだ」
五年後、ぼくはありすちゃんの父親気分ではいられないかもしれない。最後の笑顔を思い出して、心のなかで呟く。
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