過去ログ - 森久保乃々「ただののの」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/12(月) 21:22:26.80 ID:Lju6G2ic0
 前へ。

 ほんの少しの、些細で小さな、けれど確かな一歩を踏み出して前へ。

 それまで居た場所から前へと出た。

 自分の意思で。望み、欲して、自分で願ったそのように。

 前へ。

 これまでよりも前へ。これまでよりも先へ。これまでよりも、傍へ。

 踏み出した。出て、至った。

 そうして至ったこの場所。この、ここの、こうして辿り着いたこの今を感じ始めてから数分。

 たったの数分。机の下の聖域に居れば一瞬。レッスンに追われていればいつの間にか。眠りへ落ちる前の妄想を描いていればわずか。そんな、ほんの数分の時。

 たった、ほんの、それだけ。

 でも、それでもそれなのに、そんな数分が何十分にも何時間にも感じられた。

 長く永い、まるで永遠のように。

 感じられた。感じられて、感じられる。

 永く遠く果てのない、最期の終わりの予兆さえ訪れ迫ってこないような、途方もない時。

 あまりにも大きく深すぎて不安にすらなってしまいそうな――けれど、それでいて嫌ではない時間。

 嫌ではなくて。どころか、祈りを込めて一途に手を伸ばしてしまいたくなるような。

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