過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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212: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2016/12/30(金) 18:50:52.63 ID:KJrfrKrx0

アルス「はい ありがとうございました。……いらっしゃい!」

こうしてゆく先々で商売をするのも少年にとっては一人前の漁師としての貴重な経験であった。

アルス「店を相手に 魔物の素材を売るのとは わけが違うね……。」

マリベル「でも これが 本来の商売の姿なのよねー。」

アルス「うん……。」

それは戦いに明け暮れていた二人にとっては嬉しいことであり、
かつては存在しなかった異国の地で平和を噛みしめながら今日を生きていることへの実感が沸き上がるようだった。

*「二人とも 話してないで こっち 手伝ってくれよ!」

*「「はーい。」」

遠洋でとれた魚がなかなか手に入らないためなのか、ただ異国からの客が珍しいだけなのか、町の人々の気持ちはそれぞれだったであろう。
だが確かなことは、いくつもの木箱に山積みだった魚たちがものの数刻のうちに完売してしまったということだ。

*「すげえ! あっという間に 売れちまった!」

*「けっこうな値段の奴も あっただろ? あれもか?」

*「おうよ。ばあちゃんが 目ェ光らせて 買っていったぜ。」

*「ハァ〜 とんでもねえ ばあちゃんだな! おい。」

隅に重ねられた空っぽの箱を見ながら漁師たちは興奮冷めやらぬ様子で口々に感想を述べあっている。

ボルカノ「わっはっはっ! 商いのし甲斐があったってもんだ!」
ボルカノ「どうだった 二人とも? 自分たちの手で獲った魚を 売りさばくのは。」

アルス「…お客さんの顔見てたら なんだか 嬉しくなったかな。」

マリベル「そうねー ちょっと 忙しすぎたけど 悪くなかったかも……。」

ボルカノ「マリベルおじょうさんは もしかしてこっちのが 向いてるかも しれませんな。わっはっはっ!」

マリベル「そうですか? でも なーんか お客の目が いやらしかったような 気がするのよねえ。あんまり 一人一人の顔 よく見てなかったけど。」

*「そりゃ マリベルおじょうさんの 魅力が強すぎたからでしょう!」

*「違ぇ無え。」

銛番の男の言葉に他の漁師たちも楽しそうに頷く。

マリベル「お おほほ! それなら 仕方ないわね! このマリベルさまに かかれば 世の男どもなんてイチコ……!」

アルス「父さん お昼はどうする?」

しかしそんな少女の言葉なぞ耳に入ってもいないかのように少年は父親に話しかける。

ボルカノ「少し遅いが あそこの 酒場で なんか 食えないのか?」

そんな息子の言葉に船長は広場の西にある大きな酒場を指さす。

アルス「わかった。それじゃ……。」

マリベル「キーっ! アルスのくせに あたしを 無視するなん……!」

アルス「行こっ マリベル。」

マリベル「て……あ……。」

少女が抗議を終える前に少年はさっさと彼女の手を引いて歩き出してしまう。
少女は咄嗟のことについていけずにいたが、少しだけしてからひねり出すように一言だけ。

マリベル「……アルスのくせに ナマイキよ……。」

そう漏らして少年に引かれるがままに酒場へと入って行ってしまった。

コック長「アルスも だいぶ おじょうさんの扱いが うまくなったな。」

そんな二人の背中を見つめ料理長が感慨深そうに呟く。

*「へえ そっすかね。」

ボルカノ「まだまだ 尻に敷かれっぱなし だがな。」

*「違ぇ無え。」

二人の背中が消えた後、一行は生暖かい笑みを浮かべたままゆっくりと酒場の方へ歩き出すのであった。



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