過去ログ - 【デレマスSS】加蓮「意地とプライド」
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1: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:00:48.57 ID:a32PSQZi0
加蓮「うわー。寒いねー」

12月。急に日の入りが早くなって、急に空気が冷たくなる。

今日の仕事を終えて、事務所を出るとすっかり空は真っ暗だった。スーッと息を吸うと、ピーンと鼻をつく冬の匂いがする。

コートの襟元をぐいっとあげて、顔を埋める。引っ張り出したばかりのコートからはクローゼットの匂いがした。これはもうマフラーも必要かなぁ。確か去年でボロボロになって捨てちゃったから、新しいの買わなきゃ。

 

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2: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:02:58.06 ID:a32PSQZi0

奈緒「大丈夫か?ドラッグストアでカイロ買ってくか?」

隣の奈緒が過保護モードの顔で私に聞く。毎年この季節になると、奈緒は凛とプロデューサーさんと3人でことあるごとに私にお節介を焼く。

以下略



3: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:04:03.95 ID:a32PSQZi0

駅前の方まで歩いていくと、街はすっかり表情を変えていた。ところどころにイルミネーションが飾られていて、ピカピカと賑やかに彩られていた。

奈緒「おー、もうクリスマスシーズンの始まりだな」

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4: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:05:40.12 ID:a32PSQZi0

奈緒「じゃーな。また明日!」

加蓮「また明日ね。バイバイ」

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5: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:07:01.82 ID:a32PSQZi0

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加蓮「病院の慰問?」
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6: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:08:48.91 ID:a32PSQZi0

そんな私の複雑な気持ちを見通したのか、プロデューサーさんが言葉を続ける。

デレP「実はな、こういう話は前から何個も来てたんだ。でも、全部断った」

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7: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:09:50.35 ID:a32PSQZi0

返ってきた答えは、その通りだった。

デレP「あと一歩まで来られたからかな。乗り越えるだけの強さと覚悟は手に入れたから、あとはきちんと向き合って進むだけだって思ったから」

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8: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:12:31.97 ID:a32PSQZi0

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加蓮「はーい。じゃあレッスン始めるよー。現役アイドルからレッスンを受けられる機会なんてそうそうないからねー。みんな幸せ者だよー」

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9: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:13:51.70 ID:a32PSQZi0

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デレP「えっ...1日トレーナー?」
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10: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:14:59.35 ID:a32PSQZi0

加蓮「あのね、私がひねくれてるだけかもしれないんだけどね。慰問会って私は苦手だったんだ」

加蓮「3回目を超えたあたりから辛くなって、それで参加しなくなった」

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11: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:15:39.79 ID:a32PSQZi0

私の言葉を聞いて、じーっと考えるプロデューサーさんと師長さん。時計の針の音だけが会議室に流れる。チッチッチッと何かのカウントダウンみたい。嫌な緊張感。

いくらかその音を数えていると、師長さんが口を開いて言った。

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12: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:16:35.70 ID:a32PSQZi0

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加蓮「よーっし、レッスンはここまで。じゃあ、みんなで歌おっか」
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13: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:17:32.43 ID:a32PSQZi0

加蓮「はーい、じゃあ最後に加蓮サンタからみんなにプレゼントだよー。でも、私欲張りサンタだから、プレゼントあげるだけじゃ嫌なんだ」

加蓮「だから、いつか、病院を卒業した時に私にプレゼントを返しに来てね。いつまでも、待ってるから」

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14: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:18:49.20 ID:a32PSQZi0

最後の1人まで渡し終えて、私は違和感に気がつく。あれ?一個プレゼントが余ってる。

みんなにプレゼントが行き渡ってるのを確認する。おかしいな?朝、プロデューサーさんと一緒に数を間違えてないか確認したのに。

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15: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:19:54.14 ID:a32PSQZi0

一つだけ余ったプレゼントを持って、私は看護師さんの案内について行く。途中で話を聞くと、かれこれ数年は入院し続けている重病の女の子らしい。

長すぎる入院生活に嫌気がさして、ただただ治療を受け続けているだけの状態らしい。なんかそんな子、どこかで聞いたことある。きっと美少女だって思うな。

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16: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:21:29.55 ID:a32PSQZi0

入った彼女の個室は、真っ白で何も荷物もないシンプルな部屋。長年入院してるのが嘘のよう、今日から入院したんじゃないかってくらい、本当に何にもない部屋だった。

入り口に背を向けてベッドに座っている女の子が見える。艶々とした真っ直ぐな黒髪は腰にまで届きそうで、華奢な背中と細すぎる肩幅が、なんだかこの世のものとは思えない儚さと可憐さがあった。

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17: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:22:35.67 ID:a32PSQZi0

加蓮「はい、ありがとう。どうしたのそんなに怖い顔して?せっかくの可愛い顔が台無しだよー」

彼女は私をにらみつけたまま、吐き捨てるように言う。

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18: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:23:14.47 ID:a32PSQZi0

耳に大きなノイズ音が流れる。目に浮かんでくる景色はやたらと解像度が悪いし、色も白黒だ。

でも、どこのいつの景色かすぐにわかった。何年か前のクリスマスイブだ。

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19: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:23:54.01 ID:a32PSQZi0

その感情は怒りだった。

ふざけるな!私はそんなに弱い人間じゃない!心の奥底から声がする。

以下略



20: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:25:02.05 ID:a32PSQZi0

ザーッとまたノイズ音がして、感情はそのままに、鮮明な景色が目の前に広がる。

全力で吸って吐いて呼吸を繰り返す華奢な女の子と、床に落ちたプレゼント。

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21: ◆uYNNmHkuwIgM
2016/12/24(土) 15:25:56.18 ID:a32PSQZi0

彼女に聞こえているかどうかわからないけど、私は彼女に問いかける。

加蓮「...あなた、諦めちゃってるの...?」

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