過去ログ - 花丸「はなまるぴっぴは善い子だけずら」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:19:20.92 ID:O8fGFwM8o

*

 初めて訪れる街だ。
黄金色の光に彩られた四方を見回した花丸の口から、思わず声が漏れ出る。

「都会ずらー」

 光源だけが街を彩っているのではない。
ビルや歩道に積もった雪もまた、光を反射して絶佳の光景に貢献している。
花丸は未踏のはずのこの地を、北海道にある函館だと認識した。
日本三大夜景の地であり、善子と一緒に訪れたい街の一つだ。

 善子も伴いたいと思うのは、流石に欲張り過ぎだろうか。
考えながら、花丸は歩みを進めた。
降雪の最中ではないが、足元の雪は新雪のような柔らかい質感がある。
降った直後なのかもしれない。
歩く度に聞こえるスナック菓子を齧ったような音が、花丸の耳に心地良かった。
それが面白くて、用もないのに無駄に小刻みなステップを踏んでしまう。
そうして存分に、花丸は雪の感触を楽しんだ。

「相変わらずモサいな、ずら丸は」

 忘我の境地で雪を楽しんでいた花丸の耳に、聞き慣れた声が届いた。
口調に違和感があっても、求めて止まなかった声音を聞き違えるはずもない。
間違いなく、善子の声だ。

「善子ちゃんっ。善…子ちゃん?」

 気色ばんで勢いよく振り向いた花丸だが、視界に映る声の主の姿には我が目を疑った。
確認するように、名前をもう一度呼んでしまう。意図せずに声は途切れ、語尾も上がった。
自分の認識に自信が持てない。



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