過去ログ - 花丸「はなまるぴっぴは善い子だけずら」
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13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:21:34.79 ID:O8fGFwM8o
 対する理亞は怯む花丸の姿を笑ってから、頭を翻して撥条のように跳ねた。
花丸の頭上を、理亞が前転しながら通過してゆく。

 花丸は呆気にとられて、奇行を見守る他なかった。
柔らかい新雪の上では、いくら勢いを付けても地面との反発は作用しない。
それを容易く空中で前転してみせたのだから、花丸は慄くばかりだ。

「北海道の女子高生って皆こんなに凄いずらぁ?」

 身体を戦慄に震わせた花丸の喉から、掠れた声が漏れ出る。
それを聞く鹿角姉妹の表情には、花丸の呆けた呟きを肯んずる如き余裕の表情が浮かんでいた。

 花丸の背筋を冷えた汗が伝った。
果南も曜も居ない今、嘲謔の態度で花丸に接したセイントスノーを咎められる者は居ない。
否、あの二人が居たとしても、理不尽な跳躍を見せた理亞は意に介さないだろう。

 花丸の逃げ道を妹に潰させ、姉の聖良も動く。
焦らすようにゆっくり距離を詰めてきた。彼女もまた、妹に劣らぬ能力を持っているに違いない。
花丸は俎上の鯉になった気分で、早鐘を打つ胸を抑えた。怖い。

「大丈夫だ。俺がいる」

 縮こまる花丸の耳元に、善男が囁きかけてきた。

「何をかっこつけているの?頼りないずら」

 強がってはみせたが、善男の言葉で落ち着きを取り戻している自分が悔しい。
そんな花丸の胸中を見透かしてか、善男が鼻を鳴らす。
仕草の逐一が芝居がかっているのは、善子と同じらしい。
口調も背丈も髪の長さも違うのに、善男と善子の姿が重なって見えた。
だが、頼もしさの違いは圧倒的だ。



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