過去ログ - 花丸「はなまるぴっぴは善い子だけずら」
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22:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:29:22.32 ID:O8fGFwM8o
「大丈夫ずら?」

 常備しているポケットティッシュで鼻を拭ってやりながら、花丸は問う。

「んー、大丈夫、だと思う。ちょっと屋外に居すぎたかしら」

 善子は寒そうに身体を震わせた。

 雪が降らない地域とは言っても、冬が寒くない訳ではない。
長時間に渡って冬の外気に身を晒していれば、身体にも障る。
もしかしたら、降下に失敗したのも体調不良のサインだったのかもしれない。

 ましてや善子は、嵩張る荷物を背負い、自転車で長距離を移動した直後なのだ。
汗が身体を冷やし、風邪に至りやすい体調下にある。田舎の終バスは早い。
バスのない時刻に来る前提で家を出たのなら、善子が用いた移動手段は間違いなく自転車である。
帰れなくなってしまうからだ。さもなくば、今日中に帰る気がなかったのか。

 どちらせによ、花丸に善子を帰す気はなかった。

「風邪の引きかけずら。看病してあげるから、部屋においで」

「うー。甘えることにするわ」

 善子は意地を張ることなく素直に従ってくれた。
善子にせよ、帰る気はなかったのかもしれない。

 頭陀袋はその場に置いて、花丸は善子を部屋に招じ入れた。
何度も行き来した部屋であるにも関わらず、善子は緊張しているようだった。
それは善子が風邪を引いているせいでもなければ、花丸の気のせいでもないだろう。
この緊張は、善子と花丸が互いに共有しているものだ。
聖夜に何が起こるのか、何をするのか。暗黙の裡に互いの了解事項となっていた



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