17:名無しNIPPER[saga]
2016/12/31(土) 13:53:22.61 ID:tFwGSLOi0
――電子レンジの音がした。
身体を起こす。どうして自分が倒れていたのかわからない。電子レンジを見ると、そこにはいったいいつ帰ってきたのか、イヴさんが立っていた。
イヴ
「あー、やっぱりダメでしたねぇ。ほら、空っぽ」
イヴさんがレンジから取り出した紙コップをひっくり返した。中身はこぼれない。というより、何も入っていない。
私はあたりを見回した。冷蔵庫の前に立っている。さっきまでプロデューサーを膝枕していた奈々さんが、おもちゃのニンジンを片手に私を見つめている。わけがわからない。どうして私はここにいるんだろう。
そうだ、クリスマスパーティで奈々さんの様子がおかしくて、その理由を聞きに来たんだ。奈々さんはわけのわからないことを言って、私はプロデューサーを助けようと思って……それから。それから……?
イヴ
「凛ちゃん、冷蔵庫の中のココアを取ってもらえます?」
混乱していた私は、言われたとおりに冷蔵庫からココアの缶を取り出した。手招きするイヴさんに投げて渡す。
イヴ
「ありがとうございます〜。これでやっとあったかいものが飲めますぅ〜」
空っぽの紙コップにココアを注いで、電子レンジに入れる。温めのスイッチをオン。
電子レンジの低い音が響いた。なにが起きているのかわからない。ただ何かが起こったのかはわかる。
奈々
「次はイヴちゃんの番ですよ」
イヴ
「まあまあそんなに慌てなくても〜。奈々さんも何か飲みませんか? 落ち着きますよ?」
奈々
「奈々は冷静ですよ?」
イヴ
「じゃあ凛ちゃんは、何か飲みますか? 冷蔵庫に入ってるものならなんでもいいですよ?」
凛
「……え、あ……なら……私も、ココア……」
混乱している。なにがなんだかわからない。とにかく落ち着きたくて、冷蔵庫を開けた。
イヴ
「お二人も、何か飲みませんか?」
聞き間違いかと思って顔を上げると、奈々さんが弾かれたような勢いで振り返るところだった。
芳乃
「ではわたくしは、緑茶がいいのでしてー」
茄子
「凛ちゃん、お汁粉ってある?」
いったいいつからそこにいたのかわからなかった。
芳乃と茄子さんはソファに座って、眠ったプロデューサーの髪をなでたりほっぺたを指先でつついたりしている。
私はとりあえず考えることをやめた。冷蔵庫から緑茶と――本当に入ってるとは思わなかった――お汁粉を取り出して、イヴさんに紙コップと一緒に渡す。
奈々
「……いつからいたんですか?」
茄子
「ついさっきです♪」
芳乃
「わたくしはずっとおりましたゆえー。少々心寂しかったのでしてー」
二人は顔をも上げずにそう答えた。視線はプロデューサーだけに注がれている。
34Res/55.25 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。