56:名無しNIPPER[saga]
2017/01/03(火) 23:36:27.70 ID:ypEkpxeQ0
城ヶ崎美嘉は、鷺沢文香と日野茜を『何かを誤魔化すのが得意ではない』と評したが、しかし彼女自身もまた、誤魔化すことが特別に得意という訳ではなかった。
カリスマギャルとしての城ヶ崎美嘉を守るための見栄は張るが、それは多くのファンを抱えるプロとしての意識、矜持からであり、人を騙すために積極的に嘘をつくことなどは滅多にない。
精々が、プロデューサーをからかうための冗談といった程度である。
そもそもが、自分自身に嘘をつくことを嫌うからこそのギャルというスタイルであり、だからこそアイドルとしても城ヶ崎美嘉は、ストイックだった。
レッスンでもライブでも、他のどんな仕事でも、手は抜かない。
プロとして、ファンのことを大切にしつつも、自分自身には嘘をつかない。
それが、城ヶ崎美嘉の在り方だった。
故に、何かを誤魔化すことに関しては、日常の一つでありながらも、全く専門外の技能とも言えた。
これが例えば宮本フレデリカや塩見周子、速水奏であったなら、きっと飄々と切り抜けてしまうのだろうと、城ヶ崎美嘉は思った。
もっとも、彼女達が得意なのは誤魔化すことではなく『煙に巻くこと』であったが、しかし今必要なのは、むしろその力だった。
というのも、相手は無垢のメタファーと言っても過言ではない小学五年生の少女、赤城みりあ。
下手な嘘は、罪悪感を伴って自分に返ってくる。
テレビやライブなどとはまた違った類の緊張感が、城ヶ崎美嘉にのしかかる。
そんな彼女の心中を他所に、赤城みりあは無邪気に口を開く。
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