過去ログ - 終わらない物語が嫌いな僕と余命が短い女の子の話
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◆eZMycVsOYY
[saga]
2017/01/08(日) 14:25:45.05 ID:O1Z9DSgO0
いつも病院にいるとはいえ、やはり女の子なんだろう。店を通る度に「ここ見ても良いですか」と聞いてきた。僕は実家暮らしだし、バイトもそれなりにしてるからお金はあった。そう多くはないけれども、「何か買ってあげるよ」と彼女に言うと、真っ青な顔で首を横に振ったので、以後言わないようにした。
ふらっと寄った雑貨屋で、彼女がクマのキーホルダーを見つめていた。どうやら色の種類が多いらしい。彼女を見ていると、
「薫さん、あの、色違いで一緒に買いませんか」とおずおずと僕に言った。彼女は今まで見たお店の中で何かを買う事はなかったから、よほどそれが気に入ったのだろう。
「僕とお揃いでいいの?」
「薫さんとがいいんです」と力説された。それじゃあ、といって僕は男が持っていても目立たなさそうな青いクマを、彼女は可愛らしい桜色のクマを持ってレジへ並んだ
以下略
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◆eZMycVsOYY
[saga]
2017/01/08(日) 14:38:34.64 ID:O1Z9DSgO0
並んでいる際に、僕が財布を取り出すと「私がお揃いにしようって言ったので私が二つとも払いますよ・・・?」と言われた。さすがに年下の彼女に自分の分も払わせるなんてできない。
「大丈夫だよ。僕バイトもしてるし、こういうのは普通女の子には払わせないから」と言って彼女の分のクマも取り上げた。あっ、と声を出したが、納得したのか「・・・ありがとうございます」と照れたように言った。
会計が終わった後、彼女は袋からキーホルダーを取り出し、
「お、おそろっちってやつですかね・・・。雑誌で見ました。えへへ・・・」と笑った。こんなにもこの子は可愛いのか。彼女が普通の女子高生だったら確実に何人もの男は落ちているだろう。かくいう僕もときめきかけた。危ない危ない。
45
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◆eZMycVsOYY
[saga]
2017/01/08(日) 14:50:19.00 ID:O1Z9DSgO0
その後、カフェへ行ったり本屋を見たりして、あっというまに夕方になった。「そろそろ変えろっか」と言い、彼女と自宅へ向かった。
「昨日一応片付けたんだけどさ、男二人だから・・・その、臭かったらごめん」と家に入る前にあらかじめことわっておいた。
ドアを開けて手招きすると、彼女は「お邪魔しまーす・・・」と言って、そろりと入ってきた。その様子が面白くて、「泥棒じゃないんだから」と笑うと、「ひ、の家にお邪魔するのなんて久しぶりすぎて、緊張してるんです!」と少し怒られた。
46
:
◆eZMycVsOYY
[saga]
2017/01/08(日) 15:14:01.88 ID:O1Z9DSgO0
家に入ったあと、そわそわとしている彼女にお茶を出した。
「リビングじゃ暇だから、僕の部屋に来る?小説とか、漫画もあるし」と誘った。彼女とか同じ大学の女の子ならともかく、自分より年下の女の子を部屋に連れ込む事に変な気持ちは全くなかった。彼女も少しほっとしたのか、「はい」と安心した顔で返事をした。
部屋に着くと、彼女は目を輝かせた。僕の部屋の本の数が、彼女のお気に召したのだろう。うずうずとこちらを見つめていたので、「好きな本読んでていいよ。僕も宿題とかやってるし」と彼女に伝え、自由に過ごさせた。最初こそ遠慮がちにしていたが、本好きの血が騒いだのか一度読み始めると止まらなかった。僕は人の多い図書館とか、塾の自習室で勉強できるたちではなかったので、静かに紙をめくる音だけが聞こえる空間は居心地が良かった。
47
:
◆eZMycVsOYY
[saga sage]
2017/01/08(日) 15:15:08.49 ID:O1Z9DSgO0
誰か見てくれてますか?
48
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名無しNIPPER
[sage]
2017/01/08(日) 15:28:16.33 ID:ynodIm3Xo
はい
49
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名無しNIPPER
[sage]
2017/01/08(日) 15:48:26.09 ID:FSmutK/80
ノ
50
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◆eZMycVsOYY
[saga sage]
2017/01/08(日) 15:57:06.19 ID:O1Z9DSgO0
しばらく時間がたち、父が帰ってきた。ガチャンというドアの音が聞こえると,彼女はビクッと肩を揺らし、部屋のドアを見た。それから視線をこちらに移し、
「お父さん、ですか」と聞かれた。父以外の人がドアを開けたら恐ろしいが、今日は早めに帰ると言っていたので父で間違いないだろう。彼女の問いかけに肯定し、「父さんのとこ、行こうか」と言った。
階段を降りて父のもとへ行く。
「おかえり」
「ああ、ただいま」と父はいいながら芽衣の方を見た。
以下略
51
:
◆eZMycVsOYY
[saga sage]
2017/01/08(日) 16:00:00.43 ID:O1Z9DSgO0
>>48
>>49
ありがとう 間違っている表現とかあれば教えて欲しいです。
大分ゆっくりな更新になる予定です。
52
:
名無しNIPPER
2017/01/08(日) 16:32:41.18 ID:hZ+6tA8x0
ほ〜ん……これは期待できる
53
:
◆eZMycVsOYY
[saga ]
2017/01/08(日) 17:01:39.57 ID:O1Z9DSgO0
三人で椅子にかけて、少し話をした。彼女は緊張気味のようだったが、しばらく話すうちに緊張も解けてきたようだ。夕食の時間になり、準備するために席を立った。彼女も手伝いたい様子だったが、大丈夫と言って座らせた。母が入院することが多いため、自炊には小さいときから慣れていた。
彼女が患っている病気を僕は知らない。どうしても聞く気にならなかったから。聞いてしまえば彼女の死を否が応でも感じることになる。現実逃避のため、彼女に直接聞く事はなかった。
しかし、晩ご飯を作るにあたって、食べてはいけないものはあるのかが気がかりで、ネットで調べられる限り調べた。何かあっては大変なので、出来るだけ薄味で、かつ野菜やきのこ類を多めにすることを心がけて作った。
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