過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―5―
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959: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2018/02/15(木) 18:54:38.23 ID:YSodv2Da0
「今、ソレイユの声が聞こえたような……」

 何度も追っているからかもしれないけど、フォレオはあたしの声をよく覚えてるみたいで、その事実にうれしさと緊張が同時に走った。
 ここまで来て、フォレオに逃げられるわけにはいかないという心と、もうどうでもいいから今すぐハグっとしに行きたいという心が鬩ぎあう。
 その合間もフォレオは小動物のようにフルフルとしている。ハグっとが一歩踏み込んだ。
 同時に体が動く、物陰から飛び出してフォレオを抱きしめようとするハンターとしてのあたし。

「だ、誰ですか!」

 フォレオの声が響く、静寂を切裂いたその言葉、その視線の先にいたのは……

「にゃーお」
「……猫? そうですよね、ソレイユにお出かけの予定は伝えていませんし、第一ここは白夜なんですから、いるわけありませんよね」

 裏路地から現れた猫にフォレオは安堵の息を漏らす。その手前でどうにか踏ん張りとどまったあたしは、額から顎先までを駆け抜けた汗に生き心地をようやく感じる。
 間一髪だった。一瞬でも遅れていたらフォレオに感づかれていたことを思うと、慎重に事を運ぶべきだと改めて自覚する。
 そして、ようやくフォレオが歩みを始めたので、それを追った。
 フォレオは街の様子を眺めつつ、奥へ奥へと進んでいく。周囲の風景を眺めながら、時折女の子みたいに柔らかい笑みを浮かべる。
 それを見る度にあたしの中が温かい気持ちで溢れ、長い禁フォレオ生活の苦しみが浄化されていくのを感じた。
 そうして時々、振り返るフォレオの視線を退けながら、坂の前にやってきた。
 どうやら、フォレオはこの坂の上にある何かに用事があるようで、フォレオはまったく後方を確認しないで、ただただ坂を上り続けていった。
 ようやく上り切ったそこには小さなお店があって、フォレオは吸い込まれる様に入っていく。逃げ場のない空間だけど、あたしはそのお店の中に入り込む。
 そこはとても煌びやかな世界だった。
 キラキラと光る髪飾りや、服に添える装飾品などが展示されていて、その一つ一つが特別な輝きを持っているように感じる。


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