過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―5―
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958: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2018/02/15(木) 18:50:29.47 ID:YSodv2Da0
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 イズモ公国に到着したのは祭りが始まる前日ほどで、まだ本格的に見物客が溢れてはいなかった。
 ここには白夜の人も暗夜の人も同じくらいいる。この時期、イズモ公国の祭事に合わせて港町ディアやミューズ公国からも特別便が設けられていることもあるからかもしれない。
 でも、混雑のピークは明日であることを考えると、今が一番落ち着いている時間だとも思えた。

「はぁ、着物欲しかったなぁ……」

 宿で腰を下ろしての開口一番はこれだった。
 実際、あの水色の着物に若干惹かれていた部分もあったから、今の手持ちで買えたらと思ったけど無理な話だった。
 オボロさんの言った通りフォレオがここに来ていると考えれば、お祭りには参加するだろう。
 フォレオを追ってここまで来たのだから、探し出して抱き着かないことにはあたしの旅が終わらない。
 出来れば着物姿で驚かせたかったが、逆立ちしてもそんなお金は出てこない。

「今度からそれなりにお金を持って旅をしないと。どこにチャンスが転がってるかわからないからね」

 そうして、あたしは腰を上げて宿屋を飛び出す。腰に忍ばせた携帯用のバックにフォレオの写真を忍び込ませて、街道を歩く。
 目に映る提灯や神輿という白夜で使われている神様を乗せる台座が、風景に彩を加えている。暗夜の収穫祭とはまるで違うその様をまじまじと眺めつつ、道を進んだ。
 そして、もう一つ大きな街道に出たところで、帽子を被った誰かが目の前を通り過ぎた。
 一度は視線を外して前を向いたけど、視界の隅で揺れる縦ロールが無理矢理視線を戻させる。
 手に持ったバックに可愛らしい横顔、フリフリと揺れる縦ロールと口元に時々伸びるやんわり握った手。服装だけだと誰かはわからないけれど、何度も何度も目にして抱きしめて、さらに追いかけ回しているあたしには一目瞭然だった。

「……フォレ――」

 名前を叫ぼうとした口、しかしそれを咄嗟の判断で止めて素早く物陰に隠れる。
 今の声に気づいたのか、立ち止まった人がキョロキョロと周囲を見回す。横切った時の顔に比べて不安気そうに周囲の様子を伺っていて、その被っている帽子から顔が見えた。
 フォレオだった。


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