過去ログ - 【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―5―
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974: ◆P2J2qxwRPm2A[saga]
2018/03/11(日) 18:52:33.38 ID:YQSvpWbd0
「カミラさんは優しいですね」
「そうかしら、あなたたちを最初殺そうとしていた以上、優しいなんて言えないと思うけど」
「いいえ、カミラさんはとても優しい方です。少なくとも私はそう思っています」

 落ち着いているからなのか、サクラ王女の言葉に詰まりは無かった。
 だけど、私を優しいというのは間違っている。私が優しく接しているのはとどのつまり、それがカムイのためになるからに他ならない。

「ふふっ、ありがとう。お世辞でもうれしいわ」
「お、お世辞なんかじゃありません! 私、カムイ姉様が信じているカミラさんを信じられます。カザハナさんにもツバキさんとも向き合ってくれたあなたが優しくないなんて、そんなことあるわけないです!」

 饒舌に話すサクラ王女、その言葉に少しだけ暖かい気持ちを感じた。あまり嘘を吐ける性格ではないと思ったけど、ここまでストレートに言ってくるのは誤算だった。気恥ずかしさをごまかすように、私は空を見上げる。まだ月が私たちを見下ろしていた。

「ねぇ、どうして月を見ていたの?」
「もしかして、見ていたんですか」
「ええ、あんなに一生懸命月を見つめちゃっていたから。もしかして気になる人のことでも考えていたのかしら」
「そ、そんなこと考えていませんし、気になる人もいませんから……」

 私の問い掛けをサクラ王女が慌てて否定する。なら、どうして月を見つめていたのか尋ねると、見えない先で彼女の視線が上がる気配があった。

「ここから見る月も、白夜で見る物と変わらないって思ってしまって。それがどうしてなのかを考えていたんです」

 それはサクラ王女のような幼い外見の子から出てくる言葉には思えなかった。
 月は月だと言ってしまえばそれまでだけれど、サクラ王女の言いたいことは物体としての事ではないことくらい理解できる。おそらく、ここから見える月と白夜で見た月、違う場所にいるのに全く同じに見えてしまうその理由を、サクラ王女は知りたがっているようだった。


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