10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 15:34:59.53 ID:3OYwXlIW0
「……毎度のことだが、こういう危険なことをするのはやめなさい」
一応本心からの言葉だ。まあ、彼女が怪我をしようが知ったことではないが、責任問題に問われたらかなわないからな。
「いやです!さっきも先輩、後ろからたっくんに抱き着こうとしてたじゃないですか!」
「あれは彼に頼まれて絵を見ようとしていただけだ。それに、ちゃんと入口から来れば入室を拒んだりしないよ」
「ホ、ホントですね。嘘だって言っても信じちゃいますよ。裏切ったら針千本ですからね」
「ああ、それで構わない。生憎、針を自分から飲もうとする奇特な趣向は持ち合わせていないのでね」
どうやらこちらに対する警戒を解いてくれたようで、江ノ島から私に発せられる念は好意に姿を変え、そっくりそのまま織野に向かったようだった。
「よし、じゃあそうと決まったら善は急げ。たっくん、遊びに行こう!」
「行かねえしまだなにも決まってねえよ!」
織野の腕を取り、強引に部室の外に連れ出そうとする江ノ島を眺めながら、私は首を傾げる。
江ノ島に対する興味なんてまるでないのに、どうしてこの女が織野を連れて行こうとすると、胸が痛むのだろう。
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