過去ログ - 北条加蓮「カフェに1人で来た日の話」
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9:名無しNIPPER[saga]
2017/01/20(金) 18:54:06.26 ID:8rfcpivt0
そんなに私に誘われることが嬉しかったかと尋ねてみたことがある。
はい、と即答された。
連絡が来た瞬間に、ぜんぶ書き換えられるんです。他のことが目に入らなくなっちゃうくらいに。あなたとここで会う光景を思い描いて、何のお話をしようかな、って、想像したら心が弾んじゃって、つい駆け足になっちゃうんですよ――
なんて極上の笑顔で言われて、惚れかけた。

知っていました、なんて得意げな顔をされるかもしれない。
ここに1人で来たことなんて1回しかないし、その時だってすぐに藍子を見つけて相席して、思った以上に意気投合して、それから新しい日常が始まった。
私にとってこのカフェがどんな場所なのかは自覚する必要もない。1人で訪れてどんな気持ちになるかなんて、よくよく思えば試してみるまでもなかったのだ。はたして今日の私は何をしているのだろう。答えを知っている謎解きの前で推理をするフリをして何が得られるのだろう。
乳白色にうっすらと映る鏡像が滑稽に見えてしょうがなくて、音が立つ程に荒々しくかき混ぜた。飛沫がテーブルを汚す。ぱちゃん、という音で手が止まる。あぁホント、私って何をしているんだろう。備え付けのナプキンで拭き取って四角く折りたたんで、おかしいね、と無意識のうちに口にした。

いや、だから藍子はこの場にいないんだってば。



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