過去ログ - 未来人「少し先の未来で、待ってるから」
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4: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/03(金) 19:57:37.17 ID:Nr4cjnOQ0
 少し私の話を挟む。

 言っておかなければ、後から紛らわしいことになってしまうので、先に言葉として伝えておく。

 私は人を、匂いの色で覚えていた。
 と言うより、全ての匂いを色で感じていた。

 これがあまり多くはない特技だと知ったのは、中2になってからになる。

 特に、人の匂いははっきりと感じやすくて(例えるなら、人混みの中でも自分の名前が聞こえるように、雑多な匂いの中でも人の匂いだけはしっかりと確認できる)、
 朝早くに教室に来ると、扉を開ける前に、ほぼ必ず群青色の香りがした。

 未来人は、群青色の香りだった。

 でも当時は「群青色」なんて言葉は知らなかったので、私は「黒っぽい青」と呼んでいた。

 未来人と私は、休み時間に、次に誰が教室に入ってくるか当てる、という遊びをよくしていた。
 未来人は「少し先の未来も見える」と言っていたが、当たった回数は私の方が多かった記憶がある。

「未来は不規則に分岐しつつある」

 負けるたび、未来人は青いほど黒い髪を指に巻いて、そっぽを向いてそう呟いていた。

 ……一度だけ、確実に私が予想できず、彼女には当てられたことがあった。
 カブトムシが入ってきた時だ。

 どうやったらそんなことまで予想できたのかは、私にはわからない。


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