過去ログ - 未来人「少し先の未来で、待ってるから」
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51: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/04(土) 23:03:38.68 ID:VUzEAQad0

 小学校の頃の思い出は、だいたいこれくらい。

 他にもいろいろあった1年な気もしたけど、言ってしまえば、この数日があまりにも濃くて、他の日が薄くなってしまっている印象はある。

 私にとって、自分を未来から来たと本気で信じている女の子は、この頃から少し特別な存在だった。

 決して人々の中心にいたわけではないのに、私の記憶の中心にいるのは群青色の彼女だ。

 彼女との付き合いが、これから先、もっと長く深くなることは、まだこの時の私には想像できなかったけど、
 でも、まだ一緒にいたいな、という気はしていた。

 私は、彼女にこう尋ねたことがある。

「大人になったら、なにがしたいの?」

 彼女は、空を見上げたまま答えた。

「どうして、そんなこと聞くの?」

「気になったから」

 未来人は、会話を続けたくないと思った時、こう答える。

「ふぅん」

 私はそのことを知っていたので、それ以上なにも聞かなかった。

 放課後の教室、オレンジ色の夕陽がカーテンを揺らす中、私は、群青色の未来人から、こう声をかけられる。
 
「宇宙人っていると思う?」

 透き通った声だった。

「いないと思う」

 そう答えると、彼女は可愛げのない顔でそっぽを向いた。

「なら、未来人は?」

「それは、いると思う」

「ふぅん」

 そっぽを向いたまま、彼女は少し嬉しそうに喉を鳴らした。

 面白い子だな、と思った。



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