過去ログ - 未来人「少し先の未来で、待ってるから」
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◆zsQdVcObeg
[saga]
2017/02/04(土) 23:01:29.29 ID:VUzEAQad0
私が自分の席に戻ると、いつの間にか、未来人が隣に立っていた。
未来人は足音がほとんどしない。
「質問があるんだけど」
私が未来人の方を見ると、彼女は長い髪を揺らして、「いいよ」と応えた。
一息に尋ねる。
「体育倉庫のシャッター、どうして直ってたの?」
「倉庫が未来に移動してた間に、向こうのギジュツで直してくれたんだと思う」
「あの化け物、どうなったの?」
「未来に送り返したよ。300年くらい先に」
「死んだの?」
「死んでないよ」
私は、「へぇ」と頷きながら、マジックってどこまでできるんだろう、と思った。
家に送ってくれたりとか、松葉杖について聞いてみると、彼女は「それはわたしの手柄じゃないよ」とそっぽを向いた。
「他は自分の手柄なんだ?」
私が少しからかうように聞いてみると、
「そうだよ」
未来人は両手の指先を合わせて、その隙間から細い指の間を通すようにして、私の目を見た。
それは、未来人が、初めて私に見せた、人間らしい(というか、女の子らしい)仕草だった。
少し首を傾けて、真っ暗な澄んだ瞳で、私の目を見つめる。
顔は笑ってなかったけど、未来人が笑ったのがわかった。
綺麗な顔だな、と思った。
透き通った香りがして、頭の中が群青色でいっぱいになった。
宇宙みたいだった。
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