過去ログ - 2月の昼下がりに橘ありすと話すことについて
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11: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/02/07(火) 19:49:34.89 ID:0cqd1nr10
 「プロデューサーは、仕事ですか」

 「いいや、友人とやり取りをしていた」

 嘘じゃない。彼らとは実際にプライヴェートでも交友を持つほど仲が良い。

 「事務所で?」

 「事務所で」

 「もしかして、夜通しで?」

 「想定していたよりも、議論が弾んでね」

 「どうして自宅に帰らなかったんですか」

 「気が付いた時には終電を逃していたんだ」

 これも嘘じゃない。議論しているうちに、日付が勝手に逃げて行った。本当のところ、泊るつもりもなかった。
 彼女は、呆れたようなものを眺めるような顔付きのままでいる。
 彼女に対して僕が決して嘘を吐かないことを、彼女は知っている。

 「そのやり取りは、仕事に関係することですか」

 「ありすは僕を尋問にかけているのかい」

 「……別にいやなら答えてくれなくても構いません」

 「そのとおりだよ」と僕は答える。

 「或いは、旅行の計画を練るようなものだった」


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