過去ログ - 2月の昼下がりに橘ありすと話すことについて
1- 20
9: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/02/07(火) 19:42:26.24 ID:0cqd1nr10
 「橘です」

 こちらに目もくれず、短い言葉だけが返ってくる。
 彼女はあまり親しくない人間に名前を呼ばれるのを好まない。
 そんな時は、いつもさっきのように返す。まるでそれが決まりごとであるかのように。

 しかし、だからといって、僕と彼女が親しくないという事実はない。
 これでも、彼女なりにふざけているのだ。

 「じゃあ、橘」

 「ありすです」

 二人の間にお決まりの応酬を終えると、僕と彼女は二人して小さく笑う。
 僕と彼女の間柄は、しばしばドライなものとして捉えられがちだけれど、そうでもないと思う。
 窓から射す陽光は温かく、時間の流れも緩やかだった。寝不足の身体でさえ、いつものように調子が良かった。
 肩の関節を交互に回しながら、僕は再び自分のデスクについた。

 2月の昼下がりに、僕と彼女は話をする。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
29Res/18.58 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice