10: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 20:46:02.69 ID:TTAc4R6C0
未来人は塔屋の上から、身を乗り出して私を見ていた。
「どうやって登ったの?」
「塔屋の後ろ、階段があるよ」
未来人が、背中を反らせるようにして塔屋の上に消えていったので、私も歩いて回り込んでみると、確かに、錆び付いた鉄のハシゴがあった。
ただ、最近人が触った形跡はなかった。
少し躊躇いながらも、その梯子を登る。塔屋の上には貯水タンクがあって、下に人が1人くらいなら寝転べそうな隙間があった。
ものすごく汚れていたけど。
貯水タンクを含めて、上のスペースは5畳ほど。割と広くて驚いた記憶がある。
「ここ気に入った」
「でも汚いよ?」
「大丈夫、昼間はタンクが影作ってくれるから」
返事になっていなかったが、未来人はこの場所がお気に召したようだった。向こう側を向いていたので、どんな表情だったかはわからない。
それが、入学してから1週間が過ぎた頃の話だった。
そして、その次の日から、事は始まった。
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