13: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 20:58:00.40 ID:TTAc4R6C0
目立ちたがり屋が、さらに岡西に向けて何か言おうとすると、東田がそれを遮るように振り返った。
「そういえばお前、1時間目の理科の予習したの?」
「へ?」
「次の授業の始め、お前、先生に指名される番だよ」
そう言われると、目立ちたがり屋は急に焦り出して、ノートと筆箱を取り出していた。東田は目立ちたがり屋にノートを貸してあげていた。
調子のいいやつ、と、私は感じた。
東田は私の視線に気づくと、こちらを向いて、「どうかした?」という表情をした。
私はそんなに表情のボキャブラリーはなかったので、適当に頷いて、それからよそを向いて誤魔化した。
やっぱり、東田はなんだか好きになれなかった。
その日の放課後、私は国語係で提出物を回収して職員室に持っていかなければならなかったので、しばらく教室に残っていた。
未来人はチャイムが鳴ったその時には、すでに教室にはいなかった。
残っていたのは、私と、花に水やりをするために残っていた滝野だった。
中学生にしては広すぎる教室で、放課後2人。私は黙って名簿にチェックをつけていく。
特に仲が良かったわけでもないけど、何も話さないのも変かと思い、私は少し考えてから、何の花が好きなのかを尋ねた。
滝野は声が小さかった。
梅が好きなのだそうだけど、それを聞き取るのにも、しばらく考え込んでしまった。
そこから面白おかしく話題が広げられればよかったのだけども、残念ながら私にはそんな会話術はなかったので、好きな花を聞いただけで会話は終わってしまった。
お見合いか。
これは後から聞いたことだけど、滝野は動物が好きなだけで、花は特に興味があるわけではないらしい。
私が思っていた以上に、あの空間は気まずいものだったようだ。
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