14: ◆zsQdVcObeg[saga]
2017/02/10(金) 20:58:50.52 ID:TTAc4R6C0
次の日、朝早くに学校に来てみると、教室の扉を開ける前に、群青色の香りがした。
音を立てて扉を開くと、未来人が、教卓の上に三角座りをしていた。
「スカートの中、見えるよ」
「別にいい」
「私がダメなの」
未来人はしぶしぶ教卓から降りた。
この辺りで気づいたのかどうかは覚えてないけど、彼女は身のこなしが非常に軽かった。教卓から降りても、足音が聞こえないほどだった。
「そういえば昨日は、屋上にいたの?」
私が未来人の方を振り返ると、彼女はすでにそこではなく、窓側の自分の席に移動していた。
青く見えるほど黒い髪を朝陽に照らして、彼女はコクリと頷く。
「でも、理科室寄ったし、中庭にも遊びにいった」
理科室と中庭は随分と離れているけど、何か用があったとは思えなかった。
まあ、未来人のことだし、ふらふらと校舎を放浪していたのだろう。行き先が屋上と決まっていても、そこに向かうルートはたくさんあるわけだし。
あんなに汚れてたけど、どこの部分に座ってぼーっとしてたのだろう、と考えていると、未来人はポツリと「今日もいく」と、独り言を言った。
私は頷いた。
そしてその日の1時間目が始まる前、理科室のメダカが全滅している、という話題が、教室で広まった。
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