過去ログ - 武内P「女性は誰もがこわ……強いですから」
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◆SbXzuGhlwpak
[sage]
2017/02/11(土) 17:00:56.73 ID:u9Op5e3S0
罪悪感と決心がどこかに立ち消える。
目の前に先ほどまでいたのは嘆き悲しむローレライであったはずなのに、今は陽気に笑う酒の使徒だ。
「いやー、今のは会心の涙だったね。よっ! 月9の女王!」
「もう女優だけでも食っていけるんじゃないの。アイドルのままじゃ結婚できないし、転向本気で考えといたら?」
「そうですねー。良い人がいればそれもいいですね。チラ、チラ」
天を仰ぐ。
天井が近くなったり遠くなったりして見える。
女の勘は怖い。
女の涙だって、同じぐらい怖い。
「なるほど……なんとなく事情は察していましたが、ここまでのことになっていたんですね」
酒で肉体をやられ、精神は高垣さんの涙で根こそぎもっていかれ。
気がつけばどうやら昨日今日のことを洗いざらい打ち明けていたようです。
「プロデューサー君。分かってはいると思うけど、二人とも十八歳未満よ。そりゃあ美嘉ちゃんはギリ結婚できる年齢だし、凛ちゃんだって結婚を前提にしてご両親に挨拶すればギリ大丈夫だけど、それは法律や条例での話であって、社会常識と照らし合わせればアウトなのよ」
私はいったいどんな打ち明け方をしたのでしょうか。
片桐さんは怒っているというより、本気で私の身を心配して語りかけてくれている。
と、そこで。
「まあーまあー、いいじゃない早苗さん。今は清い関係みたいなんだから」
姫川さんがまだまだ続きそうな片桐さんの言葉を遮ったかと思うと、両肩を意外なほど強く握ってきて真正面から向かい合う形に私を変えた。
「いいプロデューサー? ギリギリストライク、ギリギリボールって球じゃ見逃しは狙えても空振りは狙えないよ」
「つ、つまりなんでしょうか?」
私の頭が酔いで理解できないのか、それとも姫川さんも酔ってまともに説明できていないのか、その両方なのか。
話の流れがまるで読めません。
「だーかーら! 女子高生なんてギリギリ許されるかもしれないコーナーのすみを突くんじゃなくて、キャッチャーの手前でバウンドするフォークで空振り三振狙おうよ! 女子中学生いこう女子中学生!」
……どうやら、今日の姫川さんはもうダメなようです。
三人でそっと目を見合わせます。
「一人オススメな娘がいてね。14歳で142センチで世界で一番カワイイタタタタタタッ」
「青少年保護育成条例違反教唆の疑いで現行犯逮捕します」
「何かおかしい! 教唆された側が犯行に及んでいないのに教唆で逮捕されるなんてよくわかんないけどおかしい!」
「だまらっしゃい! こういったバカ真面目な好青年は一歩踏み外せばすごい勢いで落ちていくもんなんだからね!」
「純愛だから! 初恋を叶えであげだいだけだから!」
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