過去ログ - 【モバマス】まゆ「もっとまゆを夢中にさせてください。」【百合注意】
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◆ZDnQS3y4DE
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2017/02/12(日) 08:01:01.52 ID:sKgBBlCvo
その日、ボクはプロダクションが借り上げているマンションの自室から新しく始まるバラエティー番組の打ち合わせのために、事務所に向かう途中でした。
その道中、ボクはそこに居るはずが無い彼女を見つけたんです。
彼女は足元に大きなカバンを足元において、近くのコンビニで買ったと思われる地図帳と周りのビル街を見比べながら立ち尽くしていました。
「佐久間まゆさん、ですよね?」
ボクは彼女に声をかけてみます。もしかしたら他人のそら似かもしれませんので、まずはボクの知り合いかどうかを確認しました。
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◆ZDnQS3y4DE
[sage]
2017/02/12(日) 08:01:47.61 ID:sKgBBlCvo
彼女と初めて出会ったのは宮城の地方紙の仕事で仙台に来た時のことです。
初めて出会った彼女はどこか物憂げでずっと遠くを見てるようで、その哀愁漂う姿にボクは心を奪われてしまいました。ああ、人を惹きつけるってこういうことなんだと。
「幸子ちゃーん?今の表情すごくいいよー。でもそのままこっちに目線くれたらもっといいんだけどなー?」
どうやらまゆさんの顔を見つめ過ぎていたようです。ボクは慌ててカメラに目線を向けました。
結局この日は日帰りで東京に戻らなきゃいけなかったのもあり彼女と会話する機会はありませんでした。ボクは帰りの新幹線の中でずっと彼女のことを考えていました。
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◆ZDnQS3y4DE
[sage]
2017/02/12(日) 08:05:39.42 ID:sKgBBlCvo
「それでは、今日もらった名刺と出演していたタレントさんの名前を全部そのノートに書き込んでください。時間があればそれぞれのプロフィールも確認してメモしておいてくださいね。」
そう言って、一日中彼女を連れ回して今日の仕事をこなした帰りの車の中で、昨日買っておいた厚めのノートを彼女に渡しました。
実はこの業界、歌がうまいとか顔が整ってるとかはあまり関係無いんです。アイドルの仕事はプロデューサーさんの力量が8割でアイドル自身の実力はたいして重要ではなかったりします。
もちろん人様の前で持てる芸を披露して報酬を得てるわけですから素人同然ではお話にもなりません。ですが、誰もが頂点を目指してしのぎを削っているアイドル業界で、素人目に見てわかるほどの差をつけるのは非常に困難です。(オーバランクなんていうとんでもない例外中の例外も存在しますが。)
ぞんざいな言い方をすれば誰がやっても変わらない。みんなプロなんですから当然といえば当然ですね。
以下略
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◆ZDnQS3y4DE
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2017/02/12(日) 08:07:36.31 ID:sKgBBlCvo
そういえば説明がまだでしたね。
あの後まゆさんはウチのプロダクションに移籍することになりました。どうやら彼女は前のプロダクションに一方的に別れを告げ、通っていた学校も辞めて、家族の反対も押し切ってこのプロダクションに所属するために上京してきたそうです。
ボクはそれを聞いて舞い上がるような気持ちでした。仙台の彼女はボクのことなど眼中になく、もしかしたら名前すら覚えて貰えてないんじゃないかと考えていました。ですがそれは気宇だったようです。
どうやらボクは知らず知らずのうちに彼女に何かしらの影響を与えて居たのでしょう。それも今まで築き上げてきたものすべてをかなぐり捨てさせるほどの。
今までひたすらボクがいちばんカワイイんだと自分に暗示をかけていました。それでも自分は数多く居るアイドルのうちの一人でしか無いとずっと感じていました。ですが、ボクを見てくれていた人が居たんです!それも人生をかけてくれるほどに!
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◆ZDnQS3y4DE
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2017/02/12(日) 08:10:02.24 ID:sKgBBlCvo
プロデューサーさんの出した条件は二つ、
・トレードの費用はプロダクションが管理してるボクの口座から建て替えること。
・1年以内に採算がとれるようにすること。
傍から見れば絶望的な条件ですが、ボクから見ればぬるすぎて笑みがこぼれるようなものでした。
彼女には人を惹きつける力があります。そんなチート能力があればアイドルとしてデビューするなんて造作もない、むしろ彼女が日の目を見る前に引き込めたことにプロデューサーさんが泣いて感謝するビジョンすら見えてました。
以下略
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◆ZDnQS3y4DE
[sage]
2017/02/12(日) 08:10:37.96 ID:sKgBBlCvo
プライベートでもまゆさんと一緒に行動することが多くなり、ボクとまゆさんの相性はほぼ完璧だと思いえるようになった頃、ボクはテーブルの上にまゆさんの赤いノートがおいてあるのを見つけました、ノートに振られている数字は13、ああ、もうそんなに使ったんですね。と、そのノートを手に取りパラパラとページをめくります。最近忙しくなってきたのでサボってるんじゃないかと確認するつもりだったんです。
他人のノートを勝手に見るなどとんでもないマナー違反です。ボクはそのノートを見るべきじゃありませんでした。
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◆ZDnQS3y4DE
[sage]
2017/02/12(日) 08:11:51.73 ID:sKgBBlCvo
ノートにはプロデューサーさんのその日の行動が事細かに書かれていました。
出勤した時間に始まり、ちひろさんとの会話の内容からボールペンのお尻で頭をかいた回数まで。
そして各項目にまゆさんのコメントが綴られていれ、そのすべてがプロデューサーさんへの好意と思いの丈で、読めば読むほど彼女の愛の重さが伝わってくるようなものでした。
頭の中で『やめろ』という警告が鳴り響いています。ですがページをめくる手を止めることが出来ませんでした。
ノートにはプロデューサーさんと会話したアイドルのことも書かれていました。それに対するコメントはとてもじゃありませんがまゆさんが書いたなんて信じたくない内容でした。もちろんそれにはボクのことも書いていて、
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◆ZDnQS3y4DE
[sage]
2017/02/12(日) 08:12:38.61 ID:sKgBBlCvo
ボクは手に持ったノートを叩きつけるようにテーブルに放り投げました。頭が今見たことを理解しないようにしています。とにかくここに居てはだめだ。
ボクは逃げるようにその場を去りました。
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◆ZDnQS3y4DE
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2017/02/12(日) 08:13:21.33 ID:sKgBBlCvo
マンションの自室に戻ると、洗面所に飛び込み、歯磨き用のコップを手に取って、中に立ててあった歯ブラシを投げ捨てて蛇口を全開に開き、コップで水を汲んで飲み干しました。
5回ほど水を飲んだところで鏡の中の自分と目が合いました。
鏡の中のボクは目をかっと見開き、かたで息をして、まるで何かに絶望して、それを未だに信じられずに、自分の見間違いだと思い込みたくてたまらないような顔でした。
ボクにはそれがひどく不様で滑稽に見えて、思わず噴き出しました。込み上げてきた笑いが堰を切ったように口から溢れだします。
もちろん鏡の中のボクもつられて笑い出します。
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◆ZDnQS3y4DE
[sage]
2017/02/12(日) 08:14:15.62 ID:sKgBBlCvo
手に持っていたコップを力いっぱいに目の前の鏡に叩きつけます。
「ボクは本気でまゆさんを信じたんです!まゆさんがボクを見てくれてるって!ボクを見ている人が居るんだって!」
鏡は大きくヒビを入れて変形し、洗面台の形に合わなくなって、そのまま重量にひかれ滑り落ち、辺りにガラスの破片をまき散らしました。
「だからボクはまゆさんに同じところに来て欲しくってここまで引っ張り上げたんです!」
視界の中に何か動くものがあった気がしたのでそちらに振り向きます。そこにはお風呂場の鏡がありました。ボクはコップを思いっきり投げつけます。
以下略
12
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◆ZDnQS3y4DE
[sage]
2017/02/12(日) 08:14:43.88 ID:sKgBBlCvo
家中の鏡を全部壊したところでやっと落ち着きました。
もう何も考えたくないので怪我をしないように割れたガラスを片付け、軽くシャワーを浴びてから布団に入り意識を手放しました。
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