8:名無しNIPPER
2017/02/15(水) 00:20:16.60 ID:45HTUkfp0
 私の手には、未だ可愛らしい袋が握られていた。 
 私の腕を、掴む手があった。 
  
 「はぁっ、はぁっ……善子ちゃん」 
 「千歌……さん……」 
 まさか。 
 まさかとは思うが、私の気持ちに気づいて──? 
  
 「食べ物を粗末にしちゃダメだよっ!!」 
 「……え?」 
 「それ、チョコでしょ? なんで投げるの? 食べ物を無駄にするのは良くないよ」 
 「は……はい……」 
  
 拍子抜けした。 
 淡い期待は、まるでシャボン玉のようにすぐさま弾けた。 
 そんなことを言うために、わざわざ追いかけてきて私を止めたのか。 
 本当に変人だ。 
  
 ……いや、待って。 
  
 私がこれを投げようとしたのは今この瞬間だ。 
  
 なら、なぜ彼女は私を追いかけてきた? 
  
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