過去ログ - マルシル「……楽器かしら、これ」
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3:名無しNIPPER[sage]
2017/03/01(水) 13:35:19.65 ID:RpIHpw8h0
センシ「……あれじゃないのか?」

センシが斧で指し示す先を見ると、先ほどの楽器がまた宙を浮いていて、さらに横に別の何かが浮いていた。
すごく細い弓に似ているけど、あのまっすぐさを見ると用途は弓ではないのが分かる。
揃って浮いているところを見ると、あの二つで一つの楽器なのかもしれない。

ライオス「お」

弓の魚が団扇の魚に近づき、弦にあたるヒレの部分に体をこすりつけ始めた。
包丁を食材に当てるように押しては引いて押しては引いてを繰り返す。
するとそのうちに、馬のいななきによく似た美しい音色が響き始める。

マルシル「い、いい音……」

チルチャック「おお。ああやって音を出すのか」

ライオス「な、なんて面白い生態なんだ。あの音にはどんな意味が」

ライオスが立ち上がって魚に近づくと、途端に地面へと倒れ伏した。

マルシル「ら、ライオスー!」

チルチャック「うわー!」

センシ「ふん!」

センシが演奏をしている魚を斧で叩き落とした。
弓が折れて胴体が割れた魚が地面へと無残に転がった。
演奏を聞いたせいでライオスがああなったのだとしたらこれで治るはずだけど、もう死んでいるんだとしたら手遅れだった。

マルシル「い、生きてるの!? ライオス!?」

ライオスに近寄り体を揺さぶると、ライオスが力なく目を開けた。
良かった。何とか生きてる。

チルチャック「……お前馬鹿にも限度があるぞ」

ライオス「すまない。興奮してしまって」

ふらふらとライオスが体を起こすも、立ち上がることは出来ないようだった。

マルシル「大丈夫? 薬草飲む?」

鞄から気付け薬の元になる薬草を取り出す。
生のままだとキツいけどこの際しょうがない。

ライオス「いや、大丈夫。それよりも二人は平気か?」

ライオスが私達、特にチルチャックを見ながら言う。

チルチャック「……そういえば特になんともないな」

マルシル「私も平気だけど」

センシは大丈夫かと思ってふと見ると、センシが床に倒れていた。

マルシル「イヤー!」

チルチャック「何やってんだよ!」

ライオス「ま、待てチルチャック。近づくのは危険だ」

チルチャック「そんなこと言ったって」

ライオス「マルシル。頼めないか」

マルシル「な、なんで私?」

別にイヤとは言わないけど。

ライオス「センシはおそらく魔物の音で倒れた。耳がいいチルチャックよりはまだマルシルのほうが危険性が低い」

チルチャック「……頑張れマルシル」

マルシル「もー」

宙を漂う魔物の様子を伺いつつ、どうにかセンシの元へと近づく。
白目をむいているセンシを杖でつついて様子を見る。
完全に反応がない。
ライオスと同じなら多分気絶してるだけだと思うけど、センシを引きずって逃げられるほど腕力に自信がない。


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