過去ログ - 【ガルパン】マタニティ・ウォー! 最終章
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88:KASA[saga]
2017/03/23(木) 18:49:06.29 ID:nC3puLwv0
しほ「みほ。……。この話は──まほには内緒ですよ。あなたを慰めるために──しかたなく身をさばいて話を聞かせるのだと、そう理解しなさい」

みほ「?? う、うん……わかったけど……」



しほ「……フゥー……」

みほ(な、なんだろう……なんだか改まった雰囲気……)



しほ「……貴方たちの妊娠が発覚したとき──大勢の人間が思った。『戦車道の歴史はこれで途絶える』」

みほ「……え……」

しほ「現象を考えれば当然ね。私もそれを覚悟した。せざるを得なかった。私の代で、戦車道は終わりなのだろうと──」

みほ「……。」

しほ「あの時は、私もずいぶんとこたえた」

しほ「戦車道が潰える、私が生涯をささげたものが、なくなろうとしている。だとしたら……」

しほ「私の人生はなんだったんだろうと──」

しほ「考えても仕方のない事が、どうしてもときおり、ふと頭に浮かぶようになった」

しほ「少し話がそれるけれど──そのせいかしらね、私には、エリカの気持ちが、よく理解できた」

みほ(あ……。……そうか、お母さんとエリカさんって)

みほ(……少し、似てるんだ……)

しほ「話をもどします──もちろん私には、流派の家元として、妊娠にみまわれた子どもたちを救う責務がある。私はもう、これからはそういう方向に人生の舵を取らざるを得ない。家元としてその義務がある。けれど、どうしても、ふと──虚しさが時折頭をよぎったわ」

しほ「私の生涯は何だったのだろうか、私のこれまでの努力は何だったのだろうか、どうしてこんなことに──そういう鬱屈とした気分に、時々、飲み込まれた」

みほ「知らなかった。お母さんが、そんな風に。今でも……? 今でも、そんな風に思っているの?」

しほ「……。」


 (しほ、みほの質問に答えてくれない)


しほ「……そうしているうちに、ある晩──貴方から久しぶりの電話がかかってきた」

みほ「え──」

しほ「貴方は、電話が繋がるなり、戦車道についてを、ああでもないこうでもない、と細かい事をペラペラと質問をしてきた──私が危惧しているまさにそのことを、私の神経を逆なでするように」

みほ「え、ええー……そんなつもりは……」

しほ「わかっています。けれど私は──ひどく苛立たされた。大人げないことにね」

みほ「うぅ……」

しほ「だから私はあなたに、腹いせの様にまくしたて返した。──だけどその時に、突然に、私はきがついた」

みほ「え……?」

しほ「戦車道がなくなって、私の生涯の努力が無となった後も、私には、まだ残されているものがある」

みほ「お母さんに、残された物……?」


しほ「そう。まぎれもない、私の生きた証──」

しほ「私が女としてこの世に生を受けた証──」

しほ「少し大げさかもしれないけれど──戦車道を失った後の、私に残されるすべて──」



みほ「……? え、と……?」


(しほ、急に無言になる──みほの手を握ったまま、じっと、みほの目を見つめる)


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