過去ログ - 緒方智絵里「一番ではなくても」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/28(火) 13:38:20.72 ID:6tbK9NB80
「だから、ごめんなさい」

「こんな駄目な私でごめんなさい」

「こんな私がプロデューサーさんを愛してしまって、ごめんなさい……」


 言いながらキス。

 わざと高く水に濡れた音を響かせるようにしながら、何度も何度もちゅ、ちゅっ、と。

 私の跡を刻み付けるように吸い上げて、甘噛んで。塗り重ねるように何度も、何度も。

 額に、眉に、瞼に、鼻に、頬に、顎に、耳に、首筋に、唇に――浅く何度も、深く何度も、濡れた唇を触れさせる。


「後悔は、ありません。……それは、ほんの少しも、ありません……」

「一番にはなれなくても、プロデューサーさんの一番近い場所でプロデューサーさんと一緒に居られる」

「プロデューサーさん以外を捨てた。無くした。失った。……だけど、そのおかげでプロデューサーさんに愛してもらえる」

「私にはプロデューサーさんだけ」

「だからそのことで、私が後悔するようなことはありません」

「……だけど」

「だけど、ごめんなさい」

「幸せを奪ってしまって……プロデューサーさんを幸せにすることのできない私で、ごめんなさい」


 じっと、見つめる。

 これまで一度も止まることなく動かし続け、這わせて、プロデューサーさんの身体を感じ続けていた身体の動きを止めて。

 キスを降らせていた唇を引いて、吐息がかかるくらいの距離を離した辺りに顔を持ってきて、今ここに至るまで唯の一度だってプロデューサーさん以外を映してこなかった瞳へ、また改めてプロデューサーさんの顔を映して。

 まっすぐまっすぐまっすぐ。じっと、プロデューサーさんの姿を見つめる。

 そして何分か。

 ゆったり。じっくり。たっぷり。そうして時間を溶かしてから。

 間を置いて、空白を重ねて。静かに……でも熱くて、濃い、そんな時間を過ごして。

 じいっとずっと見つめ続けて。

 それから……それを続けてそうしてから、そっと近付く。


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