過去ログ - 和久井留美「キスを貰えるかしら」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/29(水) 20:24:02.39 ID:yYuywfKCO
そのどれもが魅力的で魅惑的で、どうしようもなく私を誘うもの。どうにもならないほど私を惑わせてしまうもの。私を誘惑する、何よりのものだから。
だから当然迷うわ。盛大に存分に、迷ったの。
……だけど、そう。やっぱりそれがいいのよ。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/29(水) 20:25:05.83 ID:yYuywfKCO
確かにこれは……プロデューサーくんとのキスは、もう既に幾度となく繰り返してきたこと。
啄むようなそれも、貪るようなそれも、ありとあらゆる形を以って繰り返して……積んで、重ねて、何度も何度も交わし合ってきたこと。
だけど、やっぱりこれが欲しいのよ。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/29(水) 20:25:45.68 ID:yYuywfKCO
「……」
「…………」
「………………え、っと。留美さん」
5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/29(水) 20:26:36.98 ID:yYuywfKCO
「いやー……うん、残念ながらそうでもなかったみたい、というか」
「…………ああ。……ああ、なるほど」
「……留美さん?」
6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/29(水) 20:27:30.01 ID:yYuywfKCO
「……と、それじゃあ早速」
「はい?」
「プロデューサーくん、キスを。……事を急く女は好きでないと知ってはいるけれど、とはいえそれでも貴方とのこと。……正直あまり長く抑えてはおけそうにないの。だから、ほら……」
7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/29(水) 20:28:13.91 ID:yYuywfKCO
「どうしても何も……言ってくれたじゃない。今回のライブを成功させたご褒美として、望みのものをプロデューサーくんから贈ってくれるって」
「望みのものというか……食べたいもの、だったはずなんですけどね」
「似たようなものよ。大した差異はないわ。……それに、食べたいもの、というそれでも間違いではないし」
8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/29(水) 20:29:17.87 ID:yYuywfKCO
「…………ん?」
「どうかした?」
「いやまぁあの、いろいろとあるにはあるんですけど……まずその、初めから気になっていたこととして」
9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/29(水) 20:30:07.60 ID:yYuywfKCO
「……え、っと」
「とても良い時間だったわ。……ふふ、まるで褪せない興奮と身を焦がすような恍惚に、今でも震わされてしまうくらい」
「……おかしいなぁ、。一応あの時、仮眠室には鍵を掛けていたはずなんですけど……」
10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/29(水) 20:30:52.14 ID:yYuywfKCO
「しっかり深く考えてくれているようで一瞬感謝しかけましたけど、やっぱりそういうことじゃないですからね。もっとそれ以前に問題としなければならない点が山のように積まれていますからね、それ」
「ああ。けれどもちろん、私にとってはプロデューサーくんの想いこそが何よりのもの。もしそれでも私を求めてくれるというのなら、私は今この瞬間にそこへ至ってしまっても構わないけれど」
「あーもう、聞いてないし。……というか、あの、留美さん」
11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/29(水) 20:34:49.57 ID:yYuywfKCO
「え、っと……うぅん?」
12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/29(水) 20:36:42.25 ID:yYuywfKCO
「すべての想いを言葉に。改めて口にするのは少々気恥ずかしくもあるけれど……ええ、言いましょう。私は貴方が、プロデューサーくんのことが好きよ。好きで好きで好きで、もうどうにもならずどうしようもないほどに大好きなの。とりどりな色に光り輝いて、そのどれもで私の心を魅了する貴方の表情が好き。私を震わせ痺れさせる、甘くて柔らかな声が好き。身体の芯まで染み込んで脳髄まで犯し溶かしてしまうような、その刺激的で蠱惑的な匂いや味が好き。柔らかで優しげで、けれど途方もないほどの安心感を与えてくれる貴方の胸が好き。どこまでも温かく私を受け入れ抱き締めてくれる、思いやりに満ち大きな愛情に溢れた心が好き。語り尽くせなどできないほど、限りもなく終わりさえもないほど、湧いて溢れ出てしまうのが抑え留められないほど、プロデューサーくんのことが好き。大好き。大好きなの。貴方の傍に居る、ただそれだけで心臓の高鳴りを止めることができなくなる。貴方を想う、そうしているだけで幾千もの夜を越えられてしまう。貴方に触れる、指先でのほんのわずかな接触のその度にすら毎回全身を焼け落としてしまわんばかりに身体を火照らせ紅に塗ってしまう。どうすることもできないのよ。貴方とのこと……ただそうあるだけで、たとえそれがどんなに小さくどんなに細かで、周囲から見ればまるで何も特筆するべきでないようなどうでもよいとすら言われてしまうであろうものであったとしても、それが貴方とのことであるならそれだけで、プロデューサーくんとのことであるならただそれだけで感極まって、壊れてしまいそうなほどの絶頂へと至ってしまう。プロデューサーくんと関係しない事では決して感じることのできない幸せを全身で、全霊で感じられてしまうほど、それほど貴方のことが大好きなの。
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