過去ログ - 響子「わたしのほしいものは」
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4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/03/31(金) 00:14:11.91 ID:n/U0KpIm0
ーーそれからさらに数か月がたった。


「響子ちゃーん、今日のあの場面、もう少し気の利いたコメント言えなかったの?」

「す、すみませんっ」

「人気だからってあんま適当な仕事して乗り切れるほど、この業界は甘くないよ」

「五十嵐さんは3ページ、んでこの子たちは巻頭10ページのグラビアをお願いします」

「えっ、でも最初はわたしが巻頭の予定でしたし、この内容はちょっと過激すぎじゃ...」

「おい響子、何言って」

「いやなら、ほかの人にしてもいいんだよ? プロデューサーくん、彼女ずいぶん偉くなったみたいだね?」

「大変申し訳ございません、ぜひ受けさせていただきたいです。ほら、響子も頭下げろ...ったく」

「す、すいませんっ」



「最近、あの子が上がってきてるね、そろそろラジオの趣向変えてみよっか。響子ちゃんも、だんだんマンネリになってきたし。」


「......わたし、もうだめなのかな」


「響子、気にするな。」


最近、響子が笑顔でいることが減った。


元々わかってはいたことなのだ。


入れ替えが激しいアイドル業界において、なかなか長い間重宝されることは少ないこと。


最初はお姫様のように扱ってた周りの人間も、やがてはその輝きに目が慣れ、その辺の小娘にしかみえなくなること。


しかしその現実は、まだ若いアイドル達が受け止めるにはあまりにもつらいということ。


「はい......」



ーーガタンゴトン。


帰りの電車に乗りながら、響子はいつも通りガラスの自分と目を合わせる。


ーーわたしは、このまますたれちゃうのかな。みんなを、笑顔にできなくなるのかな。


ーーううん。そんな弱気じゃダメ、がんばらないとっ。


そう自分を奮起させ、響子は自宅へと帰る。







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