1: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:35:59.53 ID:Rsr+X+6E0
満月が大きい
春先のまだ冷える夜のお話です
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2: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:37:10.58 ID:Rsr+X+6Eo
真夜中に部屋を抜け出して外へ出る。
空気が氷のように冷たく、星はLEDライトのように一つ一つが主張している。
3: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:38:02.06 ID:Rsr+X+6Eo
「こんばんは」
「ああ、また来たんだ。こんばんは」
4: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:38:42.21 ID:Rsr+X+6Eo
「それ、自分のこと?」
「君のこと」
5: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:39:38.32 ID:Rsr+X+6Eo
「…君はどうして来たの?」
「私は…ううん、私も……あなたに会いに」
6: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:40:40.88 ID:Rsr+X+6Eo
「ねえ、なんで私たちって会うようになったの?」
「それはきっかけを尋ねているの?それとも、こうやって毎晩会うようになった理由?」
7: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:41:21.68 ID:Rsr+X+6Eo
「あの時の君、すごく綺麗に泣いてたんだよ。言わなかったけど」
「綺麗にって…ああもう恥ずかしい…」
8: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:41:55.58 ID:Rsr+X+6Eo
「何が?」
「名前すら知らない、連絡の取りようもない、そんな2人が毎晩会って気持ちが通じ合うなんてさ」
9: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:42:21.77 ID:Rsr+X+6Eo
「私さ、心拍数が上がってたみたい」
「どれぐらい?」
10: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:42:54.66 ID:Rsr+X+6Eo
「ね?すっごいドキドキしてるでしょう?」
「あーうん……待って、これダメだ」
11: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:43:50.73 ID:Rsr+X+6Eo
「君、意外と大胆なんだね」
「あなたの前だと大胆になれるみたい」
12: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:44:23.44 ID:Rsr+X+6Eo
「ねえ、こっち向いてよ」
「やだよ、いま顔あついもん」
13: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:45:00.91 ID:Rsr+X+6Eo
「キス…してみない?」
「ああもう…どうしてさ」
14: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:47:21.92 ID:Rsr+X+6Eo
「この気持ちを、かな…」
「へえ…まあ良いや、僕も嫌じゃないし」
15: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:47:56.05 ID:Rsr+X+6Eo
「それはそうだけど…」
「ねえねえ、キスの前に少しいい?」
16: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:48:22.23 ID:Rsr+X+6Eo
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
冷たい空気が気持ち良い。
17: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:49:21.43 ID:Rsr+X+6Eo
*
あの時、私はね…悲しかったんだ。
18: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:50:04.00 ID:Rsr+X+6Eo
それでさ、卒業式も終わってから何回かデートしてね、高校は別だけどがんばろう、なんてお互いに言い合ったんだ。
で、最後のデートの時にさ、彼が思い出したように言ったんだ。
19: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:50:39.40 ID:Rsr+X+6Eo
聞いた話だと、私と別れた後で近所のスーパーに買い物に行ったんだって。
そしたらその途中で車に跳ねられて…だったみたい。
20: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:51:17.53 ID:Rsr+X+6Eo
病院でさ、あいつ、普通に治療をするベッドに横になってたんだ。
だから、最初に部屋に入った時はさ、実はまだ生きてるんじゃないかなんと思ったんだ。
21: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:51:53.70 ID:Rsr+X+6Eo
それで、お互いの両親が少し話をして、私は家に戻ったんだ。
でも眠れるわけもなくてさ、
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