21: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:51:53.70 ID:Rsr+X+6Eo
それで、お互いの両親が少し話をして、私は家に戻ったんだ。
でも眠れるわけもなくてさ、
22: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:52:31.27 ID:Rsr+X+6Eo
あなたを見たらなんだか涙が出てきちゃってさ、
あの時の私、本当に意味不明だったよね、ごめんなさい。
23: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:52:59.25 ID:Rsr+X+6Eo
明るく話そうと努めたけれど
それはあまり上手にできなかった。
24: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:53:28.61 ID:Rsr+X+6Eo
「ごめんなさい…私……」
「ううん、たまには泣くのも大事だよ」
25: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:54:04.86 ID:Rsr+X+6Eo
「私の話はこれで終わりだけど…あなたは?」
「僕は…うーん…言う必要ある?」
26: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:54:32.07 ID:Rsr+X+6Eo
「あはは、ごめんね。照れ隠しだよ、照れ隠し」
「ね、今年のチョコはどうだった?聞くの忘れてたから教えてよ」
27: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:55:05.69 ID:Rsr+X+6Eo
「なに?」
「お供えってあるじゃん。あれなら普通に食べられるんじゃない?」
28: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:55:41.21 ID:Rsr+X+6Eo
「でもさ、変な気分だよ」
「なにが?」
29: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:56:08.78 ID:Rsr+X+6Eo
「あ、なんで僕が僕だって気づいたの?それがすごく不思議なんだよね」
「気になる?」
30: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:56:34.30 ID:Rsr+X+6Eo
お互いに向き合って顔を近づける。
唇同士が軽く触れ合う。
31: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:57:11.81 ID:Rsr+X+6Eo
「わりとあっさりというか…」
「こんなものか、って感じ?」
32: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:57:45.74 ID:Rsr+X+6Eo
話が途切れ、静寂が2人を包んだ。
風にそよぐ草の音が僅かに聞こえる。
33: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:58:20.42 ID:Rsr+X+6Eo
「あったかい…」
「僕も」
34: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:58:48.06 ID:Rsr+X+6Eo
「ありがとう、もう大丈夫」
「うん」
35: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 22:59:33.46 ID:Rsr+X+6Eo
「…あ、空が明るくなってきたよ」
「ほんとだ。僕さ、明け方の白い空って大好きなんだ」
36: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 23:00:51.75 ID:Rsr+X+6Eo
口を尖らせながら言う私を見て、彼が笑って言う。
37: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 23:01:18.25 ID:Rsr+X+6Eo
笑顔で手を振って、彼に背を向けてから二歩進んで止まった。
言っていなかったことがあったから。
38: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 23:02:35.47 ID:Rsr+X+6Eo
「……ね、明日も会えるよね?」
「君が望めばいつだって」
39: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 23:03:24.67 ID:Rsr+X+6Eo
斜面に生えた草はまだ少し湿っていて、
ちょっとだけ滑りそうだった。
40: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 23:03:51.68 ID:Rsr+X+6Eo
振り返って丘の上を見る。
「また明日ね」
41: ◆nRrk0j/cII[saga]
2017/04/03(月) 23:32:13.20 ID:Rsr+X+6Eo
以上です。お付き合いありがとうございました。
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