過去ログ - 佐久間まゆ「たった一つの光、願い込めて」
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11:名無しNIPPER
2017/04/09(日) 16:22:26.54 ID:ltgFqpYMo
 やがて私たちは展望台を登り切り、鉄柵に両腕を置いた。

 プロデューサーさんが体重をすっかりと鉄柵に預けているのを見て、私も恐る恐る彼の真似をする。

 プロデューサーさんはスーツ姿、私は毛布をかぶったお化け。

 周囲に街灯は申し訳程度にしかなく、その電球ももうすぐ切れそうで、時折点滅を繰り返している。

「……どうして夜につれてきたんですか?」

 私の疑問に答えるかわりに、また彼は泣き出しそうな顔で笑みを浮かべる。

「空を見てごらん」

 彼の声に導かれるままに、私は視線を上げる。

「うわ……ぁ……!」

 視界に入ったのは、満点の星空。事務所の周辺からは決して見えない、星空だけの世界。

 吸い込まれそうな錯覚を覚える、白と黒だけの世界だった。



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