273: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2017/07/03(月) 00:23:23.46 ID:A8FG0tc60
輝くクリスタルの前に、エクスは立っていた。VR特有の、現実味を帯びた非現実の美しさがそこにある。これが、話にあった目的の物なのは間違いなさそうだった。
彼は、体力の消耗を感じていた。特にこの場所に来て、クリスタルへ向かう一段一段が、一瞬とは思えないほど長く感じられることもあった。本音を言えば、いったんこのまま倒れて眠りにつきたいと思っている。
「ふむ。予定通りに到着したか」
山海のAIが、当然のようにスッと現れて、エクスに声をかける。予定通りの意味を聞きたいが、それすらも億劫なほど疲れがあり、次の言葉を待つことにした。
「この場所は、EVEの根幹が眠っている。山海が、時期が来るまで封印したものだ」
「時期…?」
天才という事だからこその、当然の危惧があった。自身が生み出した学習するAIは、すべてを学習できる。それだけにこの惨劇を招いた、そう断定していい人間に対して、嫌悪する可能性があった。
今のEVEは、ゾンビを含め攻撃を行わない。それは、その本来のAI部分も封印した結果に他ならない。開放した際に、EVEは人間と同じく思考を持つこととなる。その時に、理解を得られないまま人間を、EVEは攻撃しないとも限らない。
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