703: ◆e6bTV9S.2E[saga]
2018/02/24(土) 02:32:36.45 ID:ZhL//B+a0
風が吹いた。そうフェイは感じた。地響きのような足音は消え、重いものが何かにぶつかる音がする。しばらくしてなお、自分の身体が踏みつぶされるようなことはない。更に、銃声のような音が響くと、重い何かが地面を滑っていく音も聞こえ、彼女は恐る恐る目を開けた。
「…無事か、フェイ」
「リーダー…、うえええええ、怖かったスーーーー!」
感極まり、フェイは放浪者の胸に飛び込んだ抱き付いた。しばし、放浪者は戸惑ってから、あやすように頭を撫でた。
離れた所で、平山がもう一体の、頭が飛んだオーガの死亡確認をしたところと、遠くで親指を立てて恐らく豪快に笑っているであろう保安官が、建物屋上の端に片足を乗せて立っていた。
「マスター。オーダーは引き続き、撤退でよろしいでしょうか?」
「…無論だ。こんな危険な場所に長居は無用。皆で帰る、いいな」
畏まりましたと、ロッサはライフルを構えながら周りと歩を合わせて移動を開始した。今しがたの事態を学習したのと、撤退には全員で行うとオーダーを受けたからだ。
放浪者はフェイを平山に預け、引き続き殿(しんがり)を続けること、ロッサに回収組と保安官と共に拠点へ戻るよう伝え、再度空へと飛び立った。
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