13:名無しNIPPER[saga]
2017/04/17(月) 12:34:32.63 ID:5I2Isvu00
あの部屋にはミシンがなかった。衣装を自作するつもりなら、なにかしらの道具が部屋にあってもよいはずだ。寮は完全防音だから、騒音を気にする必要もない。楽器を持ち込むアイドルだって少なくないくらいだ。もしかすると、裁縫セットが引き出しにあったかもしれないが、1つの衣装を作るには役不足だ。高垣さんが本気でドレスを自作するつもりだったら、ミシンを購入していたと考える方が自然だろう。
そして、なぜあのボタンが部屋にあったのだろう?
縫い物をしているなら、ボタンをつけることもある。しかし、糸の切れ方は縫い物の途中で出来るものではなさそうだった。思いっきり引きちぎったように、糸が固まって乱れていた。仮に縫い物の最中に高垣さんが、ボタンを誤ってちぎったとして、それをベッドの下に放っておくだろうか。床をこまめに掃除していたならば、ベッドの下のボタンに気がつく。
縫い物でなければ、どこかに引っかけて自分の服から落とした可能性がある。だけどその場合も、掃除熱心な高垣さんはボタンを発見するだろう。
ひょっとすると、あのボタンは高垣さんが亡くなった夜に落ちたのではないだろうか。私の探偵魂は、私の心に雄弁に語りかけた。それは、私の良心を蝕みつつあった。
70Res/67.41 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。