過去ログ - 白菊ほたる「諦め切れないはずの夢」
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3: ◆P4gW9oKees[saga]
2017/04/19(水) 01:44:59.71 ID:Gvx3iZo50


「ただいま戻りました!」

本を読んでしばらく待っていると、プロデューサーさんが戻ってきました。

「おかえりなさい、プロデューサーさん」

「あれ?ほたる一人だけか?ちひろさんは?」

「ちひろさんは出かける用事ができてしまったそうで、私がお留守番を頼まれたんです」

「そうか。ありがとうな、ほたる」

「い、いえ…」

「それで、今日のオーディションはどうだった?確か即日発表だったよな」

それは、できれば聞かれたくないことでした。
でも、聞かれるのはわかっていましたし、答えないわけにもいきません。

「はい……。その…今日もダメ、でした。…すみません」

「そうか…」

プロデューサーさんが、残念そうな顔をします。
私は、その顔を見るたびにとても申し訳なくなります。

私のせいで…すみません。

「でもまぁ、次があるさ!」


「次がある」
その言葉を、何度聞いたことでしょう。

最初のプロダクションでそれを2回聞いたあと、その「次」はありませんでした。

次のプロダクションでは1回目のあと、もうその「次」はありませんでした。


「…なんて……」

「ほたる?」

「"次"なんてありませんよッ!!」

「っ……」

まるで、自分の口が自分のものではないように、勝手に言葉を吐き出します。

「前も、その前も、そうでした!『"次"頑張ればいい』とか『また"次"がある』とかそんなことばっかり!本当は、"次"なんてないくせにッ!」

「ほたる……」

「プロデューサーさんも、そう思ってるんですよね?私には未来(つぎ)なんかない、疫病神なんだ、って!」

「ほたる!」

めちゃくちゃに叫んでいた私の身体は、そっと何かに包まれました。

「ほたる、すまなかった…。いっぱい心配かけたな……」

プロデューサーさんの腕に包まれながら、涙があふれ出てきてしまいます。

違うんです……プロデューサーさんは悪くありません……
私の不幸のせいで……私が悪いんです……

そう言いたいのに、口から出てくるのは嗚咽ばかり。

「ほたるには、"次"を目指してほしい。次っていうのは、未来っていうのはそんな悲観して見るもんじゃない。"未来"は目指すべき目標なんだ」

プロデューサーさんの手が、私の頭をそっと撫でます。

「だから、一緒に頑張ろう。ほたる」

「…っはい。プロデューサーさん」





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