2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:22:55.09 ID:2z46TJqTO
「……っん、す……うぅー……」
ぴくんぴくん。びくびく。どくん。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:23:36.56 ID:2z46TJqTO
きっと好きじゃない。べつに嗅ぎたいなんて思わない。なのに何故か求めてしまう。そんな濃い、汗にまみれて香る匂い。
それを感じて、思わず身体が震えてしまう。びく、と震えて……そして抑えられず、身体も心も高揚してしまう。高まって、高鳴ってしまう。
私の吐く濡れた息とプロデューサーの漏らすそれ。絡んで混ざるその二つに挟まれてすっかりじとじと湿り気を帯びた熱い空気を吸い込みながら、それと同時に漂う匂いまでお腹の中へと飲み込んで……そうして、たまらなくなってしまう。
4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:24:18.64 ID:2z46TJqTO
(……プロ、デューサー)
普段よりも少し綺麗に片付いた部屋の中。前に譲ってもらって、それからこの時のためにと大事に置いてあったアロマの匂い。甘く蕩けるようなそれがたっぷりと満ちているはずのこの部屋の中で……でも、それを少しも感じない。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:25:07.86 ID:2z46TJqTO
「…………ん……む、ぅ……」
あむ。はむ。唇で優しく、服の向こう……このネグリジェと同じ、今日このプロデューサーとの時のために用意していたジャージ。その柔らかい、中の身体の形がくっきりと浮き出るような生地の向こう側。熱く焼けたそれを、何度も何度も挟み込むようにして愛しながら思う。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:25:56.34 ID:2z46TJqTO
始まりは一ヶ月前。大事なライブを控えた、そのちょうど一ヶ月前だった。
大事な……絶対に成功させたい、大切なライブ。それを迎えるため、私はお酒をやめた。一ヶ月間の禁酒。レッスンに打ち込むための誓い。
それを立てて、そうして私は打ち込んだ。毎日毎日レッスンに打ち込んで……必死になって、明け暮れた。
7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:26:43.59 ID:2z46TJqTO
(「ぷーろでゅーさー」)
(「今日のライブ、大成功でしたね。いっぱい盛り上がって、たくさん輝けて。今日までの努力のすべてが……すべてどころか、それ以上に報われたような……そんな、大成功」)
(「プロデューサーも喜んでくれて嬉しいです。……ふふ。終わったすぐ後なんて、あんな……本当に人目も憚らず、大喜びしてくれて」)
8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:27:21.21 ID:2z46TJqTO
(「前からずっと『本当になったら、本当にできたらいいなぁ』って思ってたことですから。夢見てた……なんて言うと少し大袈裟かもしれませんけど、でもそのくらい、叶えたいと願っていたことですから。だから、嬉しいです」)
(「叶えてもらえて。プロデューサーに、私のそれを」)
(「……ふふ」)
9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:28:01.81 ID:2z46TJqTO
それでも、こんなにたまらなくなってしまう。
はぁふぅ、息が荒れる。ドキドキ、胸が高鳴る。ぴりぴり、全身が痺れる。
建前の何もかもを投げ捨てて……後のこともプロデューサーの意思さえも考えずにただひたすら、したいようにしたくなってしまう。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:28:36.92 ID:2z46TJqTO
小刻みに震える濡れた指、両の太ももにぎゅうっと挟まれた腕。他の場所へは動かせない、動かしたくないそれとは逆、もう片方の腕を伸ばして掴む。私の肩の辺りへ置かれたそれ、何かを堪えるようにきゅっとネグリジェを摘まむそれ、プロデューサーの手を。
掴んで、そして引く。
もう寝言を装う余裕なんて無くて。だからもう何も誤魔化すことなく、引っ張る。ぐいっと、私の胸へと触れるように。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:29:27.21 ID:2z46TJqTO
(……本当は、もっと)
もっと強く、深く。押し付くだけじゃなくて、動いて。そうして触れてほしい。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/19(水) 23:30:04.13 ID:2z46TJqTO
「…………え……ぁー……」
添わせたのとは逆の手。頭を優しく撫でてくれていた手の動きが固く鈍ったのを感じて……お酒に酔った私を膝枕しているだけ。酔って微睡んでいる私のすることはすべて寝言。膝枕するプロデューサーと、される私。……それを、そんな建前を必死で崩さないようにしながら、けれどそれを守る余裕を失くしていっている。私と同じ。プロデューサーも、少しずつ私を我慢できなくなろうとしてくれている。そんなプロデューサーを感じて心の中で微笑みが漏れる。もうそんなふうに表情を緩める余裕も無くて、実際の表情はそのまま。きっと熱に浮かされて興奮に焼かれたような、どうしようもなく爛れた表情のまま。微笑むことができたのは心の中でだけ、だったけれど。
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