過去ログ - 藤原肇「実家での夜、隣の部屋には彼」
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8: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:05:36.00 ID:jwvtHNfB0

そうして器が完成しました。

完成した私の器を、おじいちゃんが眉間に皺を寄せ、まじまじと見ます。
「この辺に桟切を出すのだろう。あとは……」
以下略



9: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:06:49.78 ID:jwvtHNfB0

Pさんは携帯電話の画面を指差し、慌てて外に出ていきました。
おそらく仕事関係の電話がかかってきたのでしょう。
彼が出てしばらくすると、おじいちゃんはふうと息を吐きました。

以下略



10: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:08:25.36 ID:jwvtHNfB0

・・・

夕食は、私のアイドルとしての近況報告も兼ねながら、というものになりました。
しかし、次第に食も進み、お酒も進み――むしろこっちが原因だけど――お父さんとおじいちゃん、そしてPさんによる、私の自慢大会が始まりました。
以下略



11: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:10:36.35 ID:jwvtHNfB0

「うちの肇は世界一の娘だぞ。君、わかっとるな?」
「勿論ですよ! 肇を必ずトップアイドルにしてみせます!」

お父さんの問いにPさんは即答します。最初は「肇さん」と少し他人行儀に呼んでいた彼もお酒が入るにつれ、普段通り「肇」と私の名前を呼んでいます。
以下略



12: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:12:26.40 ID:jwvtHNfB0

しばらくすると、酔ったお父さんは畳の上で仰向けになり、おじいちゃんとPさんの二人は縁側に場所を移して飲み直しています。
先程と打って変わって、静かに会話をしています。
おじいちゃんの言葉にPさんが耳を傾け、時々相槌を打ちながらお酌をしています。

以下略



13: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:14:37.45 ID:jwvtHNfB0

そうして私、おじいちゃん、Pさんという順で座る形に。
縁側の戸を開けているので、外からはそよそよと涼しい風が流れてきます。
外は雲が少なく、星がよく出ています。
東京ではほとんど見られない、煌めきが散りばめられた空です。
以下略



14: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:17:08.61 ID:jwvtHNfB0

「そうか」と、おじいちゃんは何度も頷きました。
心なしか優しい目つきでした。
「良い友と、良きパートナーに出会ったな」

以下略



15: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:18:59.62 ID:jwvtHNfB0

「実を言うと、最初肇がアイドルになりたいと言ったとき、私は反対だった」
おじいちゃんはそう言いました。
私は驚きました。なぜなら初めて聞いたことだったから。
私がアイドルになりたいと言ったとき、おじいちゃんは何も言わずにただ頷いていただけだったから。
以下略



16: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:21:06.44 ID:jwvtHNfB0

「アイドルになって芸能界に行くということは、普通の若者が経験するはずだった青春を犠牲にする、ということでもあったからな」

地元の高校に毎日通い、友達と遊び、勉学に励み、そして恋愛の一つや二つでも経験しただろう。
陶芸という特殊な道に進みたいと思っている肇だからこそ、本格的にその道に進む前は、普通の女性らしい青春を謳歌してほしかった、と。
以下略



17: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:22:52.76 ID:jwvtHNfB0

「だからな、君、ちゃんと責任を取りなさい」
……ん?

「責任、ですか」
以下略



18: ◆kBqQfBrAQE[saga]
2017/04/21(金) 00:24:25.72 ID:jwvtHNfB0

さあ大変と言わんばかりに、Pさんは今までに見たことがないほど口ごもっています。

「そうだろう。肇をアイドルにしたいと君が家にやって来たとき、君は『全責任をもって一生をかけてでもプロデュースする』と言ったじゃないか」
「た、確かに言いましたけど、ですが…」
以下略



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