過去ログ - 鷺沢文香「過去と回顧とこれからと」
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29: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/04/25(火) 22:50:27.04 ID:6FnxdBDe0
そいつは尻餅をついてその場に倒れた。すかさず俺はそいつの胸ぐらをつかむ。ここまで、半分俺は無意識だった。しかし、自覚した瞬間、怒りがフツフツとわき上がる。
鷺沢さんの魅力を、努力を、人生を、全てをけなされた気がしてならなかった。これで怒ることのない人間が居たら教えて欲しい。
「人生賭けさせてやってんだよ!こっちは!お前が!お前に!鷺沢さんの何が分かる!!」
殴ったのもマズかった。激高し、相手に暴言を吐いたのもマズかった。でも、こうせずには居られなかった。処分なら後で、なんだって、いくらでも受けてやる。俺の首たった一つで鷺沢さんが守れるかどうかは分からないが。
「調子に乗るなよ!」
そう思うのも束の間、処分はわりかし早めに来た。後から聞いた話だが、この人はラグビーとか格闘技とか色々やっていたらしくて。瞬時に仰向きにされて、マウントポディションをとられて、顔面を集中的に殴られた。
「新人のくせに!手を上げやがって!」
一発一発がイヤに重かった。一分一秒が永遠のように感じられた。口の中は、自分の歯で傷だらけになって、鉄の味がする。まぶたが腫れ、相手の顔は見えなくなっていた。
それに、初めて知ったよ。鼻って折れると血が止まらなくなるんだな。
「ふぅ…ふぅ…!覚えてろよ、二度と仕事できないようにしてやるからな…」
疲れ切ったそいつは、捨て台詞を吐き去って行った。
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