過去ログ - 速水奏「全部、貴方のせいにしちゃいましょう。」
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znAUHOH90 7
[sage]
2017/04/26(水) 01:18:34.01 ID:kIea3Dc10
(んっ−−!! こ、これ……っっ!!)
これだけしっかり抱き止められれば、美嘉Pさんに伝わる私の特徴の情報が少なくなるから、たしかにバレにくくはなるかもしれない。
けど。
(これは……っ!! 別の意味でっ、まず、いっ、かもっ……!!)
密着したことでより鮮明に感じられるPさんの、普段はあまり見せない男性的な逞しさ、匂い、熱。身動きも容易に取れないほどの力強さが濃厚にそれを意識させる。
「は、はぁ……まあ、奏Pさんがそうおっしゃるなら……」
「ここだけの話、というのなら改めて場を設けますけれども。」
「ええと……うちの美嘉の企画なんですが……」
普段、私に語りかけてくれるカラカラと楽しげで柔らかい声とは違う、落ち着いて底を見せない、堂々とした大人の男性としての声色。
ゾクッとする。
(体温もっ……!! 鼓動もっ! こんなに、強くっ……!!)
がっちりと抱え込まれてしまって、ぜんぜん身動き取れない。
いつも優しく髪を撫でてくれる感覚と違う、暴力的な感覚。
この男から、逃れられないという感覚。
「……確かに、先方の趣旨からするとパートナーをくっ付けて提案した方が納まり良さそうですね。」
「はい。ですのでせっかくならlippsのメンバーにお願いしようかと思いまして。」
「そうですね。今の時期はなるべくlippsとしての形の露出を増やしたい。特に美嘉さんはソロでも既に認知度がありますから。」
「ただ、五人全員でやるボリュームでもないなと。」
「あのフリーダムツインズは? 面白いとは思うよ。」
「担当さんの繁忙感が……」
……なんか、普通にお仕事の話始めちゃったし。
私を挟んで、なんなの? この状況。
こっち、そんなに、余裕、ないのに。
「……企画の趣旨的にはやっぱり押し引きの利いて適度に美嘉さんを弄れる塩見さんか。」
でも、Pさんも平常心じゃないみたい。普段より低めの声と裏腹な、早鐘のような鼓動。
しっかり抱き留められてPの中に閉じ込められるような掌の熱と、じっとりした汗と。
耳許で囁かれるような声と、肺が震えて胸から伝わってくる声が、同時に頭に響いて。
「私の奏か。」
あっ。
(P、さんっ……っ。)
なまえ。
それ、だめ。
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