過去ログ - 早坂美玲「これからは、ウチらのターンだ!」
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◆S6NKsUHavA
[saga]
2017/04/30(日) 21:11:35.68 ID:D+4uS1fU0
「にが……」
「お子様」
「ふ、フン! こんなの飲むからプロデューサーみたいなオトナが出来上がるんだ!」
「お、それは褒め言葉として受け取って良いんだな?」
「ど、どうしてそうなるんだッ!? このバカプロデューサー!!」
他愛ないやりとりが続く。彼女は、変わった。やりとりを続けながら、プロデューサーは思う。スカウトして連れてきたときは、素直さのかけらもない女の子だった。パンクファッションに身を包み、我が道を行く自称一匹狼。自分のスタイルをかたくなに貫き、認めない者には容赦なく牙をむく。とても扱いづらい女の子。
その姿勢が、自分の中にある一種の弱さを見せないための防衛反応でもあると言うことに向き合ったときから、彼女は徐々に変わっていった。視界を制限するフードを時には外して周囲を見渡し、威嚇のために大きく見せかけた爪を仕舞い込んで、自分の爪でアピールするようになった。そして、インディヴィジュアルズというユニットを導くために、彼女は最後のこだわりだった眼帯も外した。
自分を守るための殻だったそれらを一度全部脱ぎ捨てて、美玲はアイドルとしての自分の武器へと再構築した。一匹狼からユニットと言う群れを得た今、彼女は反転攻勢のさなかにいる。
そんな彼女が受けた評価は。
「……美玲はどう思った、中間発表」
プロデューサーの言葉に、美玲の表情がこわばった。うつむき、両手に持った缶を眺める。穿たれた穴から見える濁った液体は、彼女の心模様によく似ていた。
「……悔しい」
ぽつりと、それだけの言葉が漏れる。
中間発表時点での彼女の順位は、圏外。これは別に選外になったわけではなく、アイドルそれぞれの特性ごとにカテゴライズされた三つの属性別順位トップ十五位までから外れたことを意味する。中間発表の時点では正確な集計がまだなされていないため、あくまで暫定の数値としてトップテンとこのカテゴライズ順位のみが発表される。
ただ、ここで圏外となった場合、返り咲くのはかなり難しいのも事実だ。
「ショーコも、ノノも、名前が載ってた。ウチだけ名前がなかった」
「それが悔しいのか?」
「違うッ! ……いや、それもあるけど……でも、違うんだ」
美玲は続けて何かを言おうとするが、言葉の整理が出来ていないのかなかなか出てこない。プロデューサーは空になって冷え始めた缶を手に、辛抱強く待った。言いたいことの想像はつくが、それは彼女の口から語られるべきものだろう。恐らくは、その続きこそが彼女が今抱えている不安の本質で、彼に問いかけた言葉の真意だ。
ややあって、美玲は決意したように口を開いた。
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