8: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:16:40.63 ID:vBGUfo7C0
俺は事務所で年甲斐もなくかくれんぼを楽しんでいたはずだ。
それなのにどうして見たこともない学校の教室で寝ている!?
見ると、どうやら俺も教室にいる男子達と同じ制服を着ているようだ。
9: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:17:13.86 ID:vBGUfo7C0
「それに、さっきから何ですか『菜々さん』って。いつもみたいに『菜々』って呼んでくださいよ」
「え?」
「幼馴染なんですから」
10: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:20:13.91 ID:vBGUfo7C0
いやまあ、さすがにそれは冗談だけど。
でも夢ならいつか醒めるし、不思議現象なら焦ったところで俺には手段はないわけだから、ゆっくり考えていこうという気持ちになれた。
そんなわけで今は幼馴染の菜々さんに連れられて帰りながら、俺はこの世界について考えている。
11: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:21:11.74 ID:vBGUfo7C0
ともかく家に着いてしまったわけで、残念ながら帰宅デートは終わってしまった。
だが、そのまま帰ろうとした俺を菜々さんが呼び止めた。
「あれ?Pくんお昼食べていかないんですか?」
12: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:22:12.61 ID:vBGUfo7C0
「まさかご両親への報告より先に菜々さんの実家に来ることになるとは」
「なにか言いましたか?」
「いや、なんでも」
13: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:26:31.58 ID:vBGUfo7C0
「Pくん、そんなにお腹空いてたんですか?やっぱり食べ盛りなんですね」
食器を洗いながら菜々さんが笑う。
「菜々さ、菜々の料理が美味しいからだ」
14: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:27:52.79 ID:vBGUfo7C0
菜々さんは一度深呼吸してから、俺の目を見つめて、言った。
「Pくんはナナの夢が何だか、憶えてますか?」
憶えてはいない。俺は菜々さんの幼馴染としての記憶はないから。
15: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:28:53.05 ID:vBGUfo7C0
くっ、今の俺がプロデューサーだったら今すぐ合格出すというのに。初めてこの世界に文句を言いたくなる。
でも、そうか。いつもオーディションを受けにきてくれる子達は、こうやって大きな挑戦を前にした気持ちで来てくれてるんだな。
今の菜々さんの告白も、きっととても勇気を振り絞って教えてくれたことなのだろう。
16: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:29:30.63 ID:vBGUfo7C0
新たな決意を胸にした俺に、菜々さんは少し小さな声で言った。
「応援、してくれますか?」
「当然だ!」
17: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:40:43.27 ID:vBGUfo7C0
さて、昼ご飯に菜々さんの手料理を食べて安部家を出た俺は、せっかくだから外をぶらついていた。
この状況は、たぶん夢か何かの不思議現象だと結論付けてそれ以上考えるのはやめた。
考えてもわからないからだ。
18: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/05/06(土) 00:41:29.55 ID:vBGUfo7C0
「でも俺、こんな場所まったく来たことないんだよな」
不自然に差し込まれた俺の実家を除けば、一つとして俺の知る建物はない。
はたしてこれは俺の記憶が適当に作った光景なのか、それとも実在するウサミン星の街並みなのか。
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