過去ログ - 【モバマスSS・速水奏】《Home》
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◆hAKnaa5i0.
[saga]
2017/07/29(土) 16:38:21.92 ID:vf2bp9nY0
速水奏は薄暗い部屋の中でテレビを見ていた。
気づけば夕暮れだった。
久しぶりの休日は勉強と読書で過ごした。勉強と読書で1日が終わった。
奏は立ち上がってカーテンを閉めた。
ベッドに腰掛け、テレビを付けた。
彼女はバラエティ番組を避けた。
いまは同僚のアイドルの姿を見たくなかった。
何よりテレビに映る自分を見たくなかった。
例え実際には出演していないとしても、見てしまう可能性はある。
だから彼女は有線チャンネルに合わせた。
ドキュメンタリーを中心に放映しているものだった。
ちょうどカンボジアの水上都市の特集がやっていた。
奏はそれを見た。
カンボジア・トンレサップ湖の水上都市には100万人規模の人間が生活していると言われている。
水上都市には学校もある。商店もある。
寺院と同じ役割を担う船もある。
速水奏はふと小学生の頃、50m走のことを思い出した。
同じ場で、同じ条件で、同じ歳の子供たちが同時に走る。
そこでは「足の早さ」の優劣が明白になる。
足の早い子は褒められる。そして羨望の眼差しを向けられる。
足の遅い子は褒められない。何も向けられない。
奏は足が早くも、遅くもなかった。
「あっちの地域だと…50m走はやらなそうね…」
奏は呟いた。
特集では、湖に飛び込む子たちや、船を漕ぐ子供たちが繰り返し映像で流れた。
だが、走り回る子はいなかった。
そもそも、走るための「地上」が、船か、水上のハウスしかないのだ。
そして船もハウスも走るのに適した場所ではない。
子供たちは生まれた時から地上を駆け回ることはない。
代わりに、湖の中に飛び込み、泳ぐ。
泳ぎは相当上達するに違いないと彼女は思った。
そして泳ぎが上手い子は一目置かれるのだろうと思った。
だが、足の早い子は評価されず、埋もれるはずだ。
その才能を見出されることは決してない。
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