過去ログ - 【モバマスSS・速水奏】《Home》
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◆hAKnaa5i0.
[saga]
2017/07/29(土) 16:39:33.60 ID:vf2bp9nY0
その日は1日中、レッスンだった。
ダンスレッスンが終わると、速水奏は事務所のソファに深く座った。
レッスンの倦怠感を感じていた。
だが、それは心地よい倦怠感だった。
「奏ちゃーん。お疲れ様〜♪」
レッスンの終わりを待ってくれていたらしく、一ノ瀬志希がソファに飛び込んできた。
志希は奏に抱きついた。そしてスンスンと匂いを嗅いできた。
「ダンスレッスンしたばかりだから汗くさいわよ?」
「問題なし! ん〜♪ 奏ちゃんの香りだねぇ〜♪」
「そうなの?」
「匂いは指紋と同じ! ブレることはないものなんだよね〜♪」
志希は嬉しそうに言った。
「人間と同じだよ。変わる部分はあるけど、変わらない部分もある♪ あたしが好きなのは、変わらない部分なのさ〜♪」
しばらく志希は一方的に話をした。
奏は時々突っ込みを入れながら、話を聞いた。楽しい時間だった。
「じゃ、またね〜♪」
志希は何か楽しそうなことを思いついたらしく、急に話を切ると事務所を出ていった。
奏は志希の後ろ姿を見送った。
またプロデューサーのところに行くんだろうなと思った。
志希にとってプロデューサーは「実家」なのか、「仮宿」なのか、どちらなのだろうか。
奏は少し考えたが、すぐにやめた。
人の気持ちを分析することが良い悪いという話ではない。
ただ、奏自身が考えたくないことだった。
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