過去ログ - 【モバマスSS・速水奏】《Home》
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◆hAKnaa5i0.
[saga]
2017/07/29(土) 16:43:40.76 ID:vf2bp9nY0
「…私は何者か、ね」
奏はアイドルとして仕事をしていた時のことを思い出した。
奏は充実していた。
仲間にも恵まれていた。
仕事の結果も出ていた。
アイドルとして成功していた。
才能を発揮できる場があった。
奏は50m走を早く走ることはできないが、人を魅了することができた。
幸運だった。
だが、疲れた。
なぜ私は疲れたのか。
奏はゆっくりと気持ちの整理をしようと思った。
理由はすぐにわかった。
奏は寂しかった。
前に志希がプロデューサーのことを「実家」と考えているのか「仮宿」と考えているのか、を推測しようとしたことがあった。
だが、奏はしなかった。
なぜか。
なんということはない。
あの疑問は奏自身に当てはまるものだったからだ。
志希ではなく奏自身の悩みだった。
プロデューサーのことを心から信頼していられるのか。
信頼して、いつか別れる日がきた時、自分はどうなってしまうのか。
それが不安だった。
根の部分で不信感と怯えがあった。
奏は気づいてしまった。
だが、気づいたところで簡単に割り切ることはできない。
「だったら信頼すればいい」
そうはならない。
奏は乾いた笑みを浮かべた。
ベッドに寝転び、目を閉じた。
電話が鳴ったのは、そんな時だった。
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